2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15360346
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小俣 孝久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80267640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 伸也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029299)
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Keywords | パイロクロア型酸化物 / 前駆体酸化法 / 電子伝導性 / 蛍石型構造 / イルメナイト型構造 / 電子構造 |
Research Abstract |
本年度は、(1)協奏電子機能材料の候補物質のエネルギーバンド計算、(2)CdTiO_3、ZnTiO_3へのNbドーピングを試みた。(1)については、SnNbO_<4.5>とSnTaO_<4.5>の計算可能なモデル構造の構築を試みたが、妥当なモデルを得るに至らなかった。(2)については、3at%のNbをドープしたZn(Ti_<0.97>Nb_<0.03>)O_3の作製に成功したが、電気伝導度は10^<-9>Scm^<-1>未満と小さく、キャリア電子を注入するには至らなかった。そこで、昨年度までの検討で、電子ドープに成功しているCeSnO_4について、交流電場を印加した状態での蛍光スペクトルの測定を試みたが、特異な現象を観測することはできなかった。 本研究では電子伝導を特徴付ける伝導帯が、移動度の大きな陽イオンのs軌道と、キャリアを多量に注入できる陽イオンのd軌道やf軌道とのハイブリッドにより形成される複合酸化物による、新しい機能の開拓を目指して行なってきた。その過程で、その候補物質である準安定な蛍石構造とa-PbO_2構造のSnTaO_<4.5>を見出し、それら準安定相の生成機構、結晶構造を解明することができた。さらに、蛍石関連構造のSnTaO_<4.5>が、還元雰囲気下では高い電気伝導性を(〜10^<-4>Scm^<-1>)を示すこと、250℃以上では素早く酸素を放出しパイロクロア相へと相変化することなどを見出した。CdTiO_3、ZnTiO_3、SnNbO_<4.5>、CeSnO_4などの他の候補物質とともに、磁場あるいは電場中での電気伝導度、光学的性質などにおいて、協奏電子機能の開拓を試みた。残念ながらそれらの物質に特有の機能を見出すには至らなかった。sとdあるいはsとfの各軌道のエネルギーが近接しても、それらのハイブリッドは陽イオンの中間に位置する酸素の2p軌道を介して生じるはずであり、それに適した結晶構造の設計が協奏電子機能を発現する重要な課題であると結論された。
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Research Products
(1 results)