Research Abstract |
本研究では,インターカレーション系二次電池に超高速充放電特性を付与することにより,高エネルギー密度および高パワー密度を兼ね備えたスーパーキャパシタの開発を目指している。そのための電極材料として,電子およびイオン輸送チャンネル,活物質層をナノレベルで空間配置した電極構造を設計・創製し,高性能化を図るものである。昨年度は,カーボンおよびTiO_2多孔体の電気化学特性について検討し,細孔内電解液中の高速イオン移動を可能にする細孔構造の設計指針を明らかにした。これを受けて,今年度は,カーボンと活物質のナノ複合系多孔体を合成し,その電気化学特性を調べた。 1.カーボンナノチューブ含有メゾポーラスTiO_2の新規合成と電気化学特性 昨年度の研究において,油/界面活性剤/水の3成分系両連続マイクロエマルション中でのゾル-ゲル反応により高表面積なメゾポーラスTiO_2を得ることに成功している。そこで,水相にカーボンナノチューブ分散水溶液を用いて,TiO_2壁内にカーボンナノチューブを取り込んだ新しいナノ複合メゾ多孔体を得ることに成功した。電気化学Liインターカレーションにおいて,TiO_2メゾ多孔体のみでは電子伝導性が低いため高速充放電時に極端な容量低下を招くのに対し,本複合体では高速充放電においても高い容量を維持することを明らかにした。 2.カーボン/V_2O_5多孔体の合成と電気化学特性 昨年度の研究において,コロイド結晶テンプレート法により,細孔内電解液中の高速イオン移動を可能にするカーボン多孔体を得ている。今回,その多孔カーボン表面にV_2O_5薄層修飾を行い,この複合体が,V_2O_5層への電気化学Liインターカレーションとカーボン多孔構造による電気二重層容量の両方の寄与に由来する高い充放電容量を示すことを見出した。また,高速充放電においても,その高い容量がほぼ維持されることも突き止めた。
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