2005 Fiscal Year Annual Research Report
極低温からの熱容量測定による機能性セラミックスの原子空孔生成エントロピーの決定
Project/Area Number |
15360351
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
森下 政夫 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60244696)
|
Keywords | La_XSr_<1-X>FeO_<3-δ> / SOFC / カソード / V^<・・>_o / C_p / C_v / デバイ関数 / 空孔生成エントロピー |
Research Abstract |
La_XSr_<1-X>FeO_<3-δ>はSOFCのカソード候補材料である.この物質では,La^<3+>をSr^<2+>(Sr'_<La>)で置換すると減少した正の電荷を補償するため酸素イオン空孔(V^<・・>_o)が形成される.このV^<・・>_oは,導電率や磁気転移点などの物性値と密接に関係がある.本年度,La_XSr_<1-X>FeO_<3-δ>について,絶対零度付近から高温までの定圧熱容量(C_p)測定を行い,V^<・・>_o導入に伴う磁気転移点や構造相転移点の変化を検討した.また,極低温のC_pの測定結果からデバイ温度(Θ_D)を決定し,そのΘ_Dに基づいてデバイ関数から定積熱容量(C_V)を求め,V^<・・>_oの導入に伴う格子振動状態の変化を検討した.なお,試料組成は原子の総数1モル,すなわち,La_<0.2>Fe<0.2>O_<0.6>, La_<0.144>Sr_<0.062>Fe_<0.206>O_<0.588>およびLa_<0.105>Sr_<0.105>Fe_<0.211>O_<0.579>と表記した. 標準状態の物質La_<0.2>Fe_<0.2>O_<0.6>では,約750Kにおいて磁気転移,また,約1260Kにおいて構造相転移が起こることが分かった.V^<・・>_oを導入したLa_<0.144>Sr_<0.062>Fe_<0.206>O_<0.588>およびLa_<0.105>Sr_<0.105>Fe_<0.211>O_<0.579>では,これらの磁気転移点や構造相転移点が低温側へ移行し,またその温度範囲がブロードになることが分かった. La_<0.2>Fe_<0.2>O_<0.6>, La_<0.144>Sr_<0.062>Fe_<0.206>O_<0.588>およびLa_<0.105>Sr_<0.105>Fe_<0.211>O_<0.579>について,デバイ関数より基めたC_vを比較した.V^<・・>_oの増加に伴い,C_vが増加することが分かった.これらのC_vを積分して定積状態での298Kにおける振動のエントロピーを計算し,V^<・・>_o濃度で差分することにより,V^<・・>_o生成の振動のエントロピーを見積もると,58.65J・K^<-1>・mol^<-1>となった.この大きなエントロピーがV^<・・>_oを生成させ,導電性を付与すると考えられる.
|
Research Products
(6 results)