2006 Fiscal Year Annual Research Report
極低温からの熱容量測定による機能性セラミックスの原子空孔生成エントロピーの決定
Project/Area Number |
15360351
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
森下 政夫 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60244696)
|
Keywords | La_xSr_<1-x>CoO_<3-δ> / SOFC / カソード / V^¨_o / C_p / C_v / デバイ関数 / 空孔生成エントロピー |
Research Abstract |
La_xSr_<1-x>CoO_<3-δ>について、絶対零度付近から高温までの定圧熱容量(C_p)測定を行い、酸素イオン空孔(V^¨_o)導入に伴う相転移点の変化を検討した。また、極低温のC_pの測定結果からデバイ温度(θ_D)を決定し、そのθ_Dに基づいてデバイ関数から定容熱容量(C_v)を求めた。なお、試料組成は原子の総数1モル、すなわち、La_<0.207>Co_<0.207>O_<0.586>、La_<0.177>Sr_<0.031>Co_<0.209>O_<0.583>およびLa_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>と表記した。 La_<0.207>Co_<0.207>O_<0.586>では、約600Kにおいて半導体から金属への相転移、また、約750Kにおいて磁気モーメントが増加する相転移が起こることが分かった。V^¨_oを導入したLa_<0.177>Sr_<0.031>Co_<0.209>O_<0.583>およびLa_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>では、これらの相転移点が低温側へ移行することが分かった。なお、La_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>では、約250Kにおいて、強磁性から常磁性への相転移も起こることも分かった。 La_<0.207>Co_<0.207>O_<0.586>、La_<0.177>Sr_<0.031>Co_<0.209>O_<0.583>および前年度検討のLa_<0.2>Fe_<0.2>O_<0.6>について、デバイ関数より基めたC_v、を比較した。V^¨_oの増加に伴い、C_vが増加することが分かった。これらのC_vを積分して定積状態での298Kにおける振動のエントロピーを計算し、V^¨_o濃度で差分することにより、V^¨_o生成の振動のエントロピーを見積もると、177.34J・K^<-1>・mol^<-1>となった。この大きなエントロピーがV^¨_oを生成させ、導電性を付与すると考えられる。なお、La_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>では低温のC_pの温度依存性が複雑であるため、デバイ関数を求めることが困難であった。
|
Research Products
(6 results)