2003 Fiscal Year Annual Research Report
高減衰能Cu基制振合金の特性制御とマイクロ防振部品への適用
Project/Area Number |
15360362
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 将見 中央発條(株), 開発部, マネージャー(研究職)
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
石田 清仁 未来科学技術共同研究センター, 教授 (20151368)
鈴木 秀和 中央発條(株), 開発部, 担当研究員(研究職)
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Keywords | マルテンサイト変態 / 高加工性 / 形状記憶合金 / Cu-Mn-Al / 制振特性 |
Research Abstract |
騒音や振動は、特に人口の密集する都市部における環境問題として大きく取り上げられている。これら騒音公害を解決する手段として、音や振動を吸収する制振材料や制振システムの開発がある。形状記憶合金は双晶型の制振合金としても知られており、制振材料の中でも高い減衰能と高い強度を有している。しかし、実用形状記憶合金であるTiNi合金は冷間加工性に乏しく、高コストのため制振材料として利用されることがほとんどなかった。最近、本研究グループは、高い延性と形状回復率を兼ね備えたCu-Mn-Al基形状記憶合金を開発したが、その基本特性を調査している中で、本合金が制振鋼鈑に匹敵する優れた制振特性を有することを見出した。そこで、本研究では、Cu-Mn-Al系高性能制振材料の開発を行い、小径ねじやバネ等のマイクロ防振部品への適用を検討する。 本年度は、以下のような結果が得られた。 1.室温近傍のマルテンサイト変態温度を有する合金を高周波溶解炉により溶解し、容体化温度や容体化時間を変えることにより種々の結晶粒径を有する合金を作製した。また、冷間圧延によりそれぞれの冷間加工性を評価した。その結果、合金の冷間加工性は粗大結晶粒でもさほど低下しないことが判明した。 2.Niをはじめとした種々の添加元素を加え、主に冷間圧延による加工熱処理を用いて集合組織を出現させることができた。その後、電子線背面反射回析装置(EBSD)により集合組織の度合いを評価した。その結果、特に約2%以上のNiを添加することにより強い集合組織が得られることを見出した。 3.1.で得られた資料を所定のサイズに加工した後、これらの試料について粘弾性試験機を用いて周波数(周波数範囲:0.5〜20Hz)および歪振幅(歪振幅範囲:1.3×10-4〜1×10-3)の範囲における減衰能を-100℃から100℃の温度範囲について系統的に評価した。以上の結果から、平均結晶粒径を大きくすると極めて良好な制振特性が得られることを明確にした。
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