2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロトプラスト機能を高度利用した有用物質の実用的な高速度生産システムの構築
Project/Area Number |
15360435
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青柳 秀紀 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (00251025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40015657)
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Keywords | 人工細胞壁 / 微生物プロトプラスト / 植物プロトプラスト / DNAマイクロアレー / 酵素生産 / 細胞壁成分 / 制癌剤 / バイオリアクター |
Research Abstract |
細胞を用いる従来の有用物質生産法の問題点を排除した新規な生産システムの開発を目指し、細胞に代わる新たな有用物質生産の担い手として、微生物や植物の細胞壁を除去したプロトプラストの優れた機能に着目し、本研究を遂行した。プロトプラストは細胞とは異なる生物機能を活性化するが、その詳細は明らかにされていない。微生物プロトプラストについて酵母(Saccharomyces cerevisiae)を対象に、DNAマイクロアレーを用いてプロトプラストと細胞の遺伝子の発現の違いを解析し、得られた結果を背景に、無電荷で、物質移動能に優れた人工細胞壁を独自に作製し、酵母(あるいは組換え酵母)プロトプラストに装着して培養する有用物質の高濃度、高速度分泌生産システムを開発した。開発したシステムを用いる事で、インベルターゼ、α-グルコシダーゼおよび組換えクチナーゼを通常の細胞を用いた生産システムに比べて数十倍の高濃度、高速度で分泌生産することが可能となった。また、種々検討した結果、プロトプラスト機能を高度に利用した機能性の細胞壁成分の新規な分泌生産システムを開発した。 植物プロトプラストについて木本性植物のイチイ(Taxus cuspidataなど)を対象に、培養細胞および植物体の葉から効率的に生存活性および代謝活性が高いプロトプラストを単離する方法を開発した。優れた抗酸化能および物質移動能を有する人工細胞壁を開発し、イチイプロトプラストに装着すると伴に、種々の機能性物質(メチルジャスモン酸やアルギン酸加熱生成物など)を培養液中に適切に添加して培養する事で、通常はイチイの培養細胞や葉の組織細胞の細胞壁近傍に微量にしか存在しないPaclitaxelなどの有用代謝産物(Taxane化合物)を高濃度で分泌生産することができた。本研究により、微生物および植物のプロトプラスト機能を高度利用した有用物質の実用的な高速度分泌生産システムを構築することができた。
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Research Products
(4 results)