2005 Fiscal Year Annual Research Report
複合材料製燃料タンクの燃料保持性能向上に関する研究
Project/Area Number |
15360448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 隆平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00202466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 啓史郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50345089)
小笠原 俊夫 宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部, 主任研究員 (20344244)
岩堀 豊 宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部, 主任研究員 (50358636)
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Keywords | 極低温燃料タンク / 宇宙往還機 / CFRP積層板 / カーボンナノチューブ / トランスバースクラック / 電気伝導率 / 燃料漏洩 |
Research Abstract |
本研究では,宇宙機等の燃料タンク壁を炭素繊維強化複合材料で製作することを念頭に置き,積層板の燃料漏洩特性に関するこれまでの知見に基き,タンクの燃料保持性能を向上させる手法の開発を目指した.研究前半の2年間では,積層板中の主要な燃料漏洩経路であるトランスバースクラックの発生・蓄積挙動を実験と解析で把握し,クラックが全層に生じることを抑制し,健全な層を残すことが漏洩抑止にとって不可欠であることを突き止めた.一方で健全な層内での拡散による燃料透過性を下げるために,カーボンナノチューブを樹脂に分散させることが有効である可能性を見出した.さらにナノチューブの多面的な有効性に注目し,多層型カーボンナノチューブ(MCNT)を分散させた樹脂材料について,引張特性,熱伝導性・電気伝導性を実験的・理論的に検討した. 本研究の最終年度となる今年度は,これまでの研究成果の適用性を一層高めるため,まず再度トランスバースクラックの発生抑制に関する検討を行った.ここではトランスバースクラックが生じた層の隣接層での新たなクラックの発生・進展を理論的・実験的に検討した.その結果隣接層相互の繊維方向が近いほど,新たなクラックが生じてもそれが進展して広がらないことを明らかにした. ナノチューブ分散樹脂の特性についてもさらに検討した.母材となる樹脂を従来のエポキシに加え,ポリエーテルイミドも対象にして分散効果を調べた.その結果,同じナノチューブ含有率の場合で比較して,引張剛性の向上効果はポリエーテルイミドの場合でより大きく,力学的な効果が高いことが明らかになり,一方,電気伝導率については,反対にエポキシ樹脂に分散させた場合に伝導率向上効果が大きい結果が得られた.ナノチューブの分散効果の優劣は,注目する特性が異なる場合には必ずしも同じ傾向を示さず,より詳細な検討が必要であることが明らかになった.
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Research Products
(5 results)