2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高速宇宙浮遊物による薄膜構造物の衝撃破壊の範囲を最小限に止める構造様式の研究
Project/Area Number |
15360452
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
佐々木 進 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙情報・エネルギー工学研究系, 教授 (00092221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 孝治 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙情報・エネルギー工学研究系, 助教授 (90321570)
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Keywords | 薄膜 / 衝撃破壊 / ポリエチレンテレフタレート / スペースデブリ |
Research Abstract |
膨張硬化型の大型アンテナや大面積の薄膜太陽電池など宇宙の大型薄膜構造物では、超高速のメテオロイドやスペースデブリなどの宇宙浮遊物による衝撃破壊が日常的に発生する。本研究は薄膜の衝撃破壊の伝搬を抑え破壊の規模を低減するような薄膜の構造様式を見いだすことを目的としている。薄膜破壊のメカニズムから推測される耐衝撃強化薄膜として、本実験では格子状の低剛性部及び高剛性部をもつ構造による衝撃伝搬阻止と熱伝導阻止の効果について実験を行った。一連の実験の結果、薄膜に格子状に切り込みを入れる(格子状に低剛性部を配置する)ことにより破壊領域を局所化する方法は有効であることが示された。例えば120mm径、0.2mm厚のポリエチレンテレフタレートの場合、一様膜の場合は衝撃破壊が膜の縁まで伝搬したが、30mmの格子間隔で切り込みのある場合(切り込み部の深さ0.02mm程度)は、切り込みに沿って破断し破壊の領域を局所化することができた。ただし、切り込みを入れたために全体が弱くなって飛散したと思われる例もあった。どの程度の切り込みをいれることが破壊の局所化に最も有効かについては、膜の物性とプロジェクタイルの大きさや速度に依存すると考えられ更に研究が必要である。薄膜に格子状に強化部分を取り付けた場合は、破壊のエネルギーが伝搬せず衝撃部周辺の破壊は激しくなるが、破壊が広範囲に拡がることを防止できることがわかった。剛性の高い部分で囲んだ領域に破壊のエネルギーが局在化することは、薄膜周辺全体を円環で保持したターゲットの方が、長方形薄膜の上辺のみを保持する場合(他の辺は自由端)よりも破壊の程度が大きいという実験結果からも確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Sasaki, USEF SSPS Study Team: "Conceptual Study of SSPS Demonstration Experiment"Japan-United States Joint Workshop on Space Power System. (2003)
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[Publications] S.Sasaki, et al.: "Tethered Solar Power Satellite"ISAS Report. (2004)
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[Publications] 佐々木 進, 田中孝治: "SPS実用化にいたる技術開発ロードマップの検討"第6回SPSシンポジウム. 93-98 (2004)
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[Publications] 田中 真, 赤星保浩, 矢守 章, 佐々木 進: "多層膜デブリシールドへの超高速衝撃実験"第23回宇宙エネルギーシンポジウム. (2004)
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[Publications] 田中 真, 矢守 章, 佐々木 進: "L-ルガンを用いた薄型デブリシールドの開発"平成15年度スペースプラズマ研究会. (2004)