2004 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙探査機の低温動作型、推進・電力統合システムの試作研究
Project/Area Number |
15360455
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
川口 淳一郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙航行システム研究系, 教授 (10169691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳留 真一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙輸送工学研究系, 助手 (30280556)
羽生 宏人 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙輸送工学研究系, 助手 (60353421)
|
Keywords | 燃料電池 / 深宇宙探査機 / 推進 / 統合型 / 低温 |
Research Abstract |
惑星間飛行中の電力需要を削減し,かつ電源系の長期保管を可能とする試みとして,低温保管が可能な衛星推進薬を使用した燃料電池の研究を進めている.本年度は以下の作業を行った。 (1)燃料電池部: 燃料としてモノメチルヒドラジン(MMH)を使用し,酸化剤として酸素を使用した際の発電性能確認を昨年度から継続して行い,燃料電池材料がMMH等の衛星推進薬に対して耐食性の問題をより深く解析し、昨年度試験的に導入したガラス状カーボン材料の耐腐食性を確認する作業を行った。昨年度末から開始した、この材料を使用した燃料電池スタックの試作をさらに進めるとともに、発電試験も実施した.また,今年度は、新素材の探索と並行して,燃料および酸化剤の供給方式についても検討を進め,改質器を用いる代わりに、一旦燃料を希薄燃焼させることにより水素を生成してから燃料電池スタックに供給する代替手法等を見出した.すでに、新たな型の電池の試作に着手している。 (2)不凍結推進機関の構成: また、非凍結型2液推進系の燃料/酸化剤の調査、反応特性および推進性能については、推進剤の候補として、燃料にモノメチルヒドラジン(MMH)、酸化剤にMON-25(N_2O_4/NO混合物)を選定し、22N級スラスタによりマイナス50℃における真空下での着火、連続燃焼およびパルス燃焼特性の評価を行った。 マイナス50℃でMMHおよびMON-25共に凍結せず、スラスタで燃焼することを実証した。着火時における過大なスパイクなども発生せず、比推力は推進剤温度により多少のばらつきが見られるものの、およそ280sと見積もられ、動作および性能面で十分な低温推進系構築が期待できる結果を得た。 以上の結果のうち、後者で得られた成果は、宇宙機に必要とされるヒータ電力を削減し、また熱設計に関する信頼性を飛躍的に高めるもので、直ちに静止衛星などへの幅広い応用へとつながる有用な成果である。
|