2005 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙探査機の低温動作型、推進・電力統合システムの試作研究
Project/Area Number |
15360455
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
川口 淳一郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙航行システム研究系, 教授 (10169691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳留 真一郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙輸送工学研究系, 助手 (30280556)
羽生 宏人 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙輸送工学研究系, 助手 (60353421)
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Keywords | 燃料電池 / 統合型 / 推進機関 / 宇宙機 / 触媒 |
Research Abstract |
1.燃料としてメタノール、酸化剤として亜酸化窒素を用いる推進機関を基盤とし、亜酸化窒素を触媒分解して酸素を発生させ、これを供給する方式の燃料電池について検討を行った。触媒による亜酸化窒素の分解に関し、触媒活性温度の調査と触媒分解開始時の亜酸化窒素ガス供給流量最適化を試みたところ、初期温度350℃を下回る場合はほとんど分解反応を示さないこと、流量を増加させた場合、触媒の初期設定温度から低下すると触媒が容易に失活することがわかり、触媒の初期温度、触媒表面積および流量それぞれに対しての相関に関する理解と、制御により分解特性の最適化を図る必要があることを見出した。推進機関としては、スパーク式の着火を試みたが、雰囲気、圧力等の条件が異なる場合、必ずしも安定に着火しないことが実験的に明らかになった。点火装置の火花発生機構部分に亜酸化窒素の分解を促進させる改良を施す方針で引き続き検討を行う。 2.燃料としてNH3,N2H4,および水を混合した新型燃料と、酸化剤に亜酸化窒素を用いる場合、NH3成分の増加に伴い化学反応特性は低下する方向にあり、強力な酸化剤である四酸化二窒素を適用しても着火特性が低下していることを両者の液滴衝突試験を実施することで理解した。燃料電池としての発電特性は、N2H4量の多い組成(60%以上)で比較的良好であり、触媒分解して得られる酸素との組み合わせによる成立性は高いことがわかった。燃料成分については、N2H4を基剤として硝酸を加え、硝酸ヒドラジンの形で化学的に活性化を図ると共に、凝固点降下を狙った組成について検討を行った。この組み合わせで組成調合を行ったところ、混和段階で極めて発火しやすい特性を有することから、温度管理に工夫が必要となった。N2H4の凝固点近傍での調合条件を調査して、安定な燃料成分の調合方法を見出すこととした。推進機関との最適化を狙ったNH3混合比についてはさらに液滴試験を積み重ねると共に、サブスケールの推進機による燃焼試験を引き続き実施する必要がある。
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