2004 Fiscal Year Annual Research Report
個体の移動分散が資源利用の進化と種多様性に及ぼす影響:理論 予測と島群集による検証
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15370007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 聡 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (10236812)
横山 潤 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (80272011)
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Keywords | 種多様性 / 資源利用の進化 / 種数個体数曲線 / 分散 |
Research Abstract |
本年度は、浦戸諸島の5つの島(桂島、野の島、寒風島、馬放島、朴島)と島からのソースとなる宮戸と七ヶ浜のセンサスを春と秋に行い、各々の島での種数、個体数関係を推定した。また、同時期に、チョウの食草となる植物の植生調査を行った。結果、全島で##種のチョウが観察された。今年度の結果をもとに、島の種多様性が分散と競争に影響しているかどうかを、Hubbleのneutral modelを帰無モデルとして用いて検定を行った。Neutral modelでは、ソースから島への分散率、島間の分散率をかえて、個体の生存はランダムに起こるものと仮定した。その結果、どのような分散率を仮定しても、neutral modelから得られる島ごとの種多様度指数は、実際の多様度指数よりも低かった。特に、中程度の個体数をもつ種の出現頻度は、実際の島の方が高く、モデルではcommon種とrare種が多くみられた。すべての島で,この傾向がみられた。これらの結果は、分散率をチョウの大きさによって異なると仮定しても、変化しなかった。これらの結果から、浦戸諸島のチョウの多様性は、(1)分散様式は多様性を決定するうえで重要ではないこと、(2)種間競争やあるいは個体間の生死がランダムであるとする仮定よりも実際の多様性は高いことなどが示唆された。種多様性には、これ以外の要因、ニッチや資源の分割が多様性に影響を与えているものと思われた。今後、島ごとの食草の量的な調査を行い、食草がチョウの多様性に与える影響を評価する必要がある。
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Research Products
(4 results)