2005 Fiscal Year Annual Research Report
個体の移動分散が資源利用の進化と種多様性に及ぼす影響:理論予測と島群集による検証
Project/Area Number |
15370007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 聡 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (10236812)
横山 潤 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (80272011)
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Keywords | 種多様性 / 資源利用 / 中立理論 / 移動分散 |
Research Abstract |
ニッチ分割が多様性パターンへ与える影響を検出するためには、(1)質の違う資源がある。(2)種によって利用資源が異なる。(3)資源の分布パターンが種の多様性パターンに影響を与える、という仮定が全て確かめられる必要があると考えられる。これら全てを満たした上で、資源分布が多様性パターンに及ぼす効果を検出した研究はこれまで行われてこなかった。本研究では、浦戸諸島(馬放島、朴島、桂島、野々島、寒風沢島)におけるチョウのサンプリング調査及び植生調査を基に、チョウ群集の多様性パターンと、各種が利用する餌資源の空間分布との関係を解析し、ニッチが多様性パターンに与える影響を検証した。 解析の結果、多様性パターンと資源分布パターンの間に強い有意な相関が見られ、多様性パターンと距離、資源分布パターンと距離には相関が見られなかった。Hubbleの中立理論では、個体の移入率が非常に重要となるため、群集間の距離が多様性パターンに強い効果をもつことになる。一方でニッチ理論に従うならば、多様性パターンは資源の分布パターンと共に変化するはずである。しかし、一般的に距離と資源分布パターンの間には相関があることが多い。そこで両者に相関が無い状態で、二つの理論の重要性を比較検証する必要がある。今回の結果では、資源分布パターンと距離に相関は認められなかった。また、多様性パターンと資源分布パターンの間に相関が見られ、特に島を分割した場合に有意な相関関係が得られたことから、浦戸諸島において、資源分布パターンが多様性パターンに強く影響していることが強く示された。
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