2004 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体での励起1重項酸素分子測定法の開発とその生成、消去、作用の分子機構
Project/Area Number |
15370026
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
浅田 浩二 福山大学, 生命工学部, 教授 (50027182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 健一 岡山県生物学総合研究所, 室長
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Keywords | 励起1重項酸素 / 活性酸素 / 葉緑体 / 光合成 / 光過剰ストレス / 活性酸素の消去 / 代替的電子伝達 / アスコルビン酸 |
Research Abstract |
CO_2固定反応に利用できるより多量の光エネルギーが葉緑体に照射されると、過剰の光量子は酸素分子を還元、励起し活性酸素を生成する。葉緑体は光過剰の条件下、活性酸素の生成を抑制する緩和機構、それでも生成する活性酸素を消去する機構によって、葉緑体の活性酸素による障害を抑制している。 本研究では、活性酸素の内、最も寿命の短い励起1重項酸素(^1O_2)測定のため、^1O_2と反応してエンドペルオキシド型となって蛍光を生ずる新しいプローブ、DPAX、を用いた。プローブの光励起にはパルス増幅変調法(PAM)を用い、これが葉緑体の作用光とならず、かつプローブの光分解を抑制できるようにし、葉緑体の赤色光照射により、^1O_2生成を連続的に測定できる方法を確立した。これによって赤色作用光に依存する蛍光の増加から、^1O_2の作用光による生成を秒単位のレスポンスで測定することが可能となった。現在、この^1O_2測定法を用い、葉の組織、細胞での^1O_2生成の2次元分布を測定できる装置を試作し、葉緑体1個レベルでの^1O_2生成・検出を目指している。これ迄、葉緑体、葉緑体チラコイドを用いた系で^1O_2生成が、反応系の酸素濃度をゼロに近い条件にすると増加することを発見した。このことは酸素濃度が低くなると電子受容体がなくなるため、電子が系IIから系Iへ流れなくなり、系IIの反応中心クロロフィールが3重項励起になりやすくなり^1O_2を生成しやすくなること、このためのO_2は系IIの酸化側で発生する程度の量(濃度)で充分であることを示している。 活性酸素の生成を抑制する1)系I循環的電子伝達、2)アスコルビン酸の系I,IIへの電子供与、活性酸素の消去に機能する3)アスコルビン酸ラジカル・レダクターゼの構造についても研究を進めている。
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Research Products
(7 results)