2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 陽子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60345262)
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Keywords | 被子植物 / YABBY遺伝子 / INNER NO OUTER遺伝子 / 心皮 / 胚珠 / 進化 / スイレン科 / アンボレラ |
Research Abstract |
最近の被子植物の分子系統解析により、現生被子植物の中でスイレン科とアンボレラがもっとも基部で分岐したことが示唆されている。そのため、被子植物の起源と進化を探る上で、これらの植物の花について解析することは有効であると考えられた。2珠皮性胚珠と心皮は被子植物に独特の器官であるので被子植物の起源を明らかにするためには、両植物においてこれらの器官の遺伝子発現パターンを比較することが有効であると考え、発現パターンの解析を行った。スイレン属からINNER NO OUTER (INO)相同遺伝子NaINOを単離し、in situハイブリダイゼーションにより発現パターンを調べたところ、真正双子葉類シロイヌナズナと同様、外珠皮の外側(背軸側)で発現することを明らかにした。さらにアンボレラでYABBY遺伝子の発現解析を行った。YABBY遺伝子はシロイヌナズナで葉など側生器官の背軸側で発現し、その背腹性の決定に関わっていると見られている。YABBY2相同遺伝子AmbF1をアンボレラから単離し、in situハイブリダイゼーションにより発現パターンを観察したところ、葉とすべての花器官(花被、雄蕊、心皮)の向軸側で発現していることを明らかにした。これはシロイヌナズナで背軸側で発現することとは正反対である。この結果から、側生器官の背腹性の決定に当たりYABBY2相同遺伝子は被子植物の中で異なる発現バターンを進化させたと示唆された。発現パターンから、原始的被子植物の花器官と葉は相同であることが支持された。また、心皮は1枚の胞子葉が内側に折れたたまれてできたとする二つ折れ説が有力であるが、AmbF1の発現パターンからは胞子葉の向軸側が窪んで子房室ひいては心皮がっくられた可能性が示唆され、今後の大きな課題となった。
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Research Products
(1 results)