2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 正文 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40101240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 完途 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (10335292)
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Keywords | マレーシア / サバ州 / 両生類 / インベントリー / アシナシイモリ / ホソウデナガガエル / ボルネオハヤセガエル / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
マレーシア連邦サバ州のクロッカー山域国立公園において、両生類相のインベントリー調査を行い、次のような成果を得た。(1)この地域では初記録となる、アシナシイモリ2種を発見した。捕獲されたのはすべて幼生であるため、種名の同定はできないが、この地域の目録にカエル目以外の両生類が初めて加わることになった。(2)現地の野外で録音された、ホソウデナガガエル属Leptolalaxの繁殖音(鳴き声)を声紋分析した結果、新種と考えられるものが2種含まれていることが判明した。この結果についての論文原稿は受理され、印刷中である。(3)ボルネオハヤセガエル属Meristogenysの成体および、幼生を多数採集し、形態観察とDNA分析を行うことにより、成体と幼生の対応づけに成功した。また。これまでに記載されているものよりも、はるかに多くの遺伝的に異なる集団が認められ、新種と考えられるものが少なくとも、2種は含まれていることが分かった。(4)ボルネオハヤセガエル属は、かつてハヤセガエル属Amolopsに含まれており、現在も独立属とみなすことに否定的な考えもある。今回の調査で得られた試料と、これまでの科研費によって蓄積されているボルネオ以外の真正ハヤセガエル属などの試料とを用いてDNA分析を行った結果、広義のハヤセガエル属は多系統であるが、ボルネオハヤセガエル属は単系統をなすので、独立属とすべきという結論が得られた。この結果についての論文原稿は受理され、印刷中である。(5)このような、鳴き声の録音や、幼生の採集を含む野外での調査結果と、室内実験の結果を併せて、クロッカー山域国立公園の両生類の多様性を見直したところ、既知の63種が、69種に増大した(9.5%の増大)。これまで調査が良くなされ、多様性が解明していた地域にも、形態だけでは区別の極めて難しい隠蔽種が、まだ多数存在していることが実証されたことになる。また、これまで目録に加えられた種数の増加率から見て、今後も両生類の多様性は増大することが予想された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masafumi Matsui, Tomohiko Shimada, Kato Nishikawa, Maryati Mohamed: "Phylogenetic Relationships of Meristogenys, Endemic to Borneo"Proceedings International Conference for Bornean Herpetology 2003. (in press).
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[Publications] Masafumi Matsui, Maryati Mohamed: "On Leptolalax from Sabah, Malaysia"Proceedings International Conference for Borncan Hernetology 2003. (in press).
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[Publications] 松井正文, モハメド=マリアティ: "マレーシア・サバ州産ホソウデナガガエル属について"爬虫両棲類学会報. 2004巻・1号(印刷中). (2004)
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[Publications] 西川完途, 松井正文, モハメド=マリアティ: "マレーシア・サバ州産アシナシイモリについての知見"爬虫両棲類学会報. 2004巻・1号(印刷中). (2004)
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[Publications] 島田知彦, 松井正文, モハメド=マリアティ: "ボルネオ産ハヤセガエル属(Meristogenys)の系統関係"爬虫両棲類学会報. 2004巻・1号(印刷中). (2004)