2005 Fiscal Year Annual Research Report
エンド型グリコシダーゼを用いたリコンビナントプロテオグリカン糖鎖の再生
Project/Area Number |
15370041
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高垣 啓一 弘前大学, 医学部, 教授 (70163160)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今 淳 弘前大学, 医学部, 助教授 (60271798)
柿崎 育子 弘前大学, 医学部, 助手 (80302024)
|
Keywords | プロテオグリカン / リコンビナント / ペプチド / エンド-β-キシロシダーゼ |
Research Abstract |
プロテオグリカンはタンパク質に糖鎖が連結した構造体である。生体内のタンパク質の多くは糖が付加されることにより機能が保てたり、他の酵素から消化されてしまうことを免れたりしている。大腸菌に作らせたリコンビナントタンパク質が糖の付加がないので機能しなかったり、不安定であったりするのは良い例である。我々はこれらの事を踏まえ、生理作用の知られているペプチドにグリコサミノグリカン糖鎖の導入を見据えた実験系の開発を試みた。グリコサミノグリカン鎖を部分的に酵素で加水分解し、その逆反応にて目的とするタンパク質へオリゴ糖レベルで転移させるのではなく、プロテオグリカンの長い糖鎖を無傷なままダイレクトに転移させるという手法を選択した。この手法は我々が発掘した酵素エンド-β-キシロシダーゼ(セリンと結合しているキシロースのβキシロシド結合のみを特異的に加水分解する酵素)を用いることにより可能となった。 アクセプターペプチドとしてはヒドロキシル基を側鎖にもつセリン、トレオニンを含んだ合成ペプチド(Boc-Leu-Ser-Thr-Arg-MCA)を使用した。次にドナーとしては、エンド-β-キシロシダーゼが作用しやすいようにプロテオグリカンのコアタンパク質をアクチナーゼで処理することにより調製したペプチドコンドロイチン硫酸を使用した。このドナーとアクセプターをエンド-β-キシロシダーゼ存在下にてインキュベートすることにより、アクセプターペプチドへグリコサミノグリカン鎖全体を転移することに成功した。 次にこの糖鎖を転移させたペプチドと転移前のペプチドをプロテアーゼの一つである活性化プロテインCに作用させた。すると糖鎖を転移させたペプチドの方が活性化プロテインCに対する抵抗性が生まれ、グリコサミノグリカン鎖導入によるペプチドの安定化を示す事ができた。この結果は、糖鎖の付加を伴わないリコンビナントタンパク質の安定化を目指す場合、一つの有用な手段となり得るであろう。
|