2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15370044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 聡 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (30283641)
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Keywords | 蛋白質折り畳み / 時間分解観察 / X線小角散乱法 / 赤外分光法 / 高速混合セル / 蛍光分光法 / 共鳴ラマン分光法 / コイルグロビュール転移 |
Research Abstract |
本研究では、蛋白質の階層的な折り畳み運動を高い時間分解能で分光学的あるいはX線散乱法を用いて観察することを目的とした。本年度は以下の成果を得た。1)フェムト秒レーザー加工技術を用いて微細な流路を工作し、10マイクロ秒の混合時間をもつ溶液混合装置を開発した。この装置を用いることで、蛋白質の折り畳みの初期凝集過程を追跡することが可能になった。2)開発した溶液混合装置を用いて、シトクロムcの初期凝集過程についての蛍光および共鳴ラマン散乱法による実時間測定を行なった。この実験により、シトクロムcがある程度の特異的な構造を作りながら収縮することが実証された。上記1)および2)の成果に関しては、現在投稿論文にまとめている。3)ヘムオキシゲザーゼというアミノ酸残基数が200を超える蛋白質の折り畳み過程を、時分割X線小角散乱、および、円二色性分光法により観察した。得られた結果は、高分子に一般的に期待されるコイル・グロビュール転移により、蛋白質の凝集が説明できることを示唆している。本研究結果は、J.Mol.Biol.誌に受理された。4)時分割赤外分光法による一本鎖モネリンの折り畳み過程の観察。一本鎖モネリンについて、時分割赤外分光法による観察を行なった。得られた結果は、折り畳み初期の状態で、緩んだβシート構造ができていることを示している。本結果も投稿論文として準備中である。5)リボヌクレアーゼAの折り畳み初期状態の構造特性を、時分割X線小角散乱、および、蛍光観察により調べた。得られた結果は、J.Mol.Biol.誌に受理された。以上のように、本研究計画により数々の成果を上げることができた。
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Research Products
(7 results)