2004 Fiscal Year Annual Research Report
多細胞動物の成立におけるチロシンキナーゼの役割に関する研究
Project/Area Number |
15370056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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Keywords | チロシンキナーゼ / 多細胞動物 / Src / 海綿動物 / 立襟鞭毛虫 / 線虫 / 神経幹細胞 / 神経系 |
Research Abstract |
チロシン残基に特異的なリン酸化酵素チロシンキナーゼは、「がん遺伝子」の蛋白質産物に初めて見出され、その後、様々な増殖因子受容体などとして続々と見出されて、大きな遺伝子ファミリーを形成していることが現在では明らかになっている。近年のゲノム解析の進展の結果チロシンキナーゼが多細胞動物にのみ存在することが示され、蛋白質のチロシン残基のリン酸化が多細胞動物の成立とともに発達してきたことが推測されている。しかしながら、チロシンキナーゼの、多細胞動物の成立と関連する根源的な役割はまだ明らかにされていない。そこで本研究では、チロシンキナーゼとしてSrc型チロシンキナーゼ(SFK)に注目し、その多細胞動物における根源的な役割を理解するために、最も原始的な多細胞物である海綿動物におけるSFKの役割、遺伝学的な解析が最も進んでいる線虫におけるSFKの役割、高等動物への応用として神経幹細胞からの発生・分化におけるSFKの役割を明らかにすることを目的とした研究を行い以下の成果を得た。1)海綿動物および動物に最も近い単細胞生物である立襟鞭毛虫のSFKおよびそれらの制御因子であるCskをクローニングし、それらの活性と制御機構を生化学的に解析した。その結果、SFKの制御系が動物の起源に遡ってすでに形成され、またそれが多細胞化に伴って発達することが明らかとなった。2)線虫のSFK(SRC-1)を欠損する変異体の解析より、SRC-1が卵巣の形態形成や神経系の構築にかかわる細胞移動の制御に必須の役割を担うことが明らかとなった。3)神経幹細胞のSFKを特異的に活性化したマウスの解析により、SFKの活性制御系が高等動物神経系の構築に必須であることが明らかとなった。
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