2003 Fiscal Year Annual Research Report
組換えダイニンの運動特性計測に基づいたAAA型モーター作動機構の解明
Project/Area Number |
15370063
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須藤 和夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20111453)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
昆 隆英 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30332620)
|
Keywords | 分子モーター / ダイニン / 組み換え体 / 微小管 / 遺伝子組換え / AAAファミリータンパク質 / すべり運動 |
Research Abstract |
我々は、世界に先駆けて、すべり運動活性と微小管で活性化されるATP分解活性を維持している組み換えダイニンの発現に成功した。ダイニンは微小管上をマイナス端方向にすべり運動する分子モーターで、神経軸策の物質輸送や細胞内ベシクル輸送、染色体分離に必須のタンパク質として重要な位置を占めている。これまで世界的にも、多数の研究室で、活性を維持した組み換えダイニンの作成が試みられてが、成功した例はなかった。キネシンやミオシンといった他の分子モーターの研究に比べ、生物物理的、生化学的なダイニン研究は大きく遅れをとっていたが、これは組み換え体がないことが原因であった。我々の発現系の確立は、ダイニン研究の大きなブレークスルーである。こうした発現系を用いて、さまざまな変異体を構築し、そのすべり運動やATP加水分解活性を計測することで、ダイニンのすべり運動の作動機構を分子レベルで解明することに着手している。まず手始めに、ダイニンに4箇所あるATP結合部位とすべり運動の共役をあきらかにするために、それぞれの部位に変異を導入して、ATP結合を阻害し、すべり運動などのモーター活性を調べた。この結果、1番目と3番目のATP結合部位はきわめてつよく相互作用しており、どちらの部位をつぶしても同じようにモーター活性が失われることがわかった。これに対して、残りのふたつの部位はモーター活性には必須でなかった。さらに、ATP加水分解の中間状態を追跡するためのプローブ導入を試みた。GFP-BFPの蛍光エネルギー遷移をもちいて、力発生直前の状態を捉えれることに成功した。また、最小モータードメインの大量発現系を構築しダイニンモータードメインの結晶構造解析にも挑戦する準備を整えている。(なお、発現系構築の論文は投稿中で、いまminor revisionの段階である。残りの部分は、現在論文執筆中あるいは論文準備中である。)
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Sousuke Iwai, Atsushi Ishiji, Issei Mabuchi, Kazuo Sutoh: "A novel actin-binding kinesin-related protein from Dictyostelium discoideum"J.Biol.Chem.. 279. 4696-4704 (2004)
-
[Publications] Sasaki, N., Ohkura, R., Sutoh, K.: "Dictyostelium Myosin II Mutations That Uncouple the Converter Swing and ATP Hydrolysis Cycle"Biochemistry. 42. 90-95 (2003)