2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物特異的なDof転写因子群の発現・機能・起源に関する網羅的な解析
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15370072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 修一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20222359)
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Keywords | 転写因子 / Dofタンパク質 / 転写制御 / 植物 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物特異的な転写因子群Dofファミリーの個々のメンバーはさまざまな生理的役割に関わると推測されている。本研究はモデル植物であるシロイヌナズナを用いて個々のDof転写因子の発現パターンと生理的役割に関して網羅的な解析を行うことを目的としている。モデル植物であるシロイヌナズナのすべてのDof遺伝子の発現をRT-PCRによって解析を行った。その結果、37個存在するDof遺伝子のほとんどが発現していることが確認された。しかしながら、AtDof4.2遺伝子、AtDof4.3遺伝子、AtDof4.4遺伝子とAtDof4.5遺伝子の発現はRT-PCRの検出限界以下であり、また、AtDof1.2遺伝子とAtDof3.5遺伝子の発現も非常に微弱なものであった。また、個々の遺伝子の発現の組織特異性を調べたところ、いくつかのDof遺伝子の発現には明白な組織特異性があることが判明した。例えば、AtDof58遺伝子は芽生えのシュート、花、つぼみでのみ発現が見られ、また、AtDof2.3遺伝子は根において特に強い発現が見られた。さらに、幾つかのDof遺伝子の発現は植物ホルモンによって誘導された。例えば、AtDof2.3遺伝子とAtDof4.1遺伝子の発現はオーキシンによって誘導され、また、AtDof4.7遺伝子の発現にアブシジン酸によって誘導された。これらのことから、各々のDof転写因子の異なる生理的役割に対応して発現パターンも異なっていると考えられた。さらに、Dof遺伝子に挿入DNAを持つシロイヌナズの変異株の表現型を解析した。この解析には、AtDof3.1、AtDof5.1、AtDof5.8、AtDof1.5、AtDof1.10、AtDof1.3あるいはAtDof1.6遺伝子の翻訳領域に挿入DNAを持つシロイヌナズナ、AtDof2.3あるいはAtDof4.1遺伝子のプロモーター領域に挿入DNAを持つシロイヌナズナ、及びAtDof4.7、5.2あるいは2.4遺伝子の3'非翻訳領域に挿入DNAを持つシロイヌナズナを用いた。その結果、AtDof3.1あるいはAtDof5.8遺伝子の変異は糖に対する感受性を変化させることを示唆する予備的知見を得た。また、AtDf1.3遺伝子の破壊はクロロフィルの減少を引き起こすことが示唆された。
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Research Products
(3 results)