2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜リン脂質の非対称性が細胞の極性形成に果す役割の解析
Project/Area Number |
15370081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 一馬 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (60188290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 隆晴 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (80312346)
鎌田 このみ 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (80312354)
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Keywords | 細胞極性 / 脂質の非対称性 / 細胞内小胞輸送 / 酵母 / P-type ATPase / アミノリン脂質トランスロケース / エンドサイトーシス / ゴルジ体 |
Research Abstract |
すべての細胞は極性化しており、細胞の極性形成は必須な細胞機能である。また、がん細胞では細胞の極性形成が異常となることが知られており、極性形成は発癌の観点からも重要である。一方、細胞膜リン脂質の分子種が脂質2重膜の細胞外側と細胞質側で分布濃度を異にすることが知られており、膜脂質の非対称性と呼ばれている。私達は、出芽酵母をモデル系に用いて、細胞極性形成を制御する新しい遺伝子Cdc50を見い出した(Misu et al.,Mol Biol.Cell,14:730-747,2003)。Cdc50はエンドソームに局在する膜貫通蛋白質であり、高等動物にまでよく保存されているが、その機能は不明であった。最近、Cdc50と類似したLem3が膜リン脂質の非対称性を制御している可能性が指摘されており、Cdc50が膜脂質の非対称性の制御を介して細胞極性形成を制御している可能性が出てきている。本年度は、以下の研究成果を得ることができた。 1)Cdc50の細胞内機能を解析する過程で、Cdc50が、膜リン脂質を細胞膜外側から細胞質側へ輸送するアミノリン脂質トランスロケース型ATPase(Drs2)と、エンドソームあるいはゴルジ体膜上で複合体を形成していることを明らかにした。Cdc50はDrs2のベータサブユニットとして機能している可能性が高いと考えられた(田中、鎌田担当) 2)Cdc50遺伝子の変異体を作成し、cdc50変異と遺伝学的に相互作用する、つまり機能的に関連した遺伝子をスクリーニングし、多数の遺伝子を単離した。これらの中にはエンドサイトーシス等の細胞内小胞輸送を制御すると考えられる遺伝子が含まれており、Cdc50が細胞内小胞輸送を制御することで細胞の極性形成を制御している可能性が示唆された。(田中、山本担当) 上述したように、本研究は順調に進行しており、着実な成果をあげることができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Misu.K., et al.: "Cdc5Op, a conserved endosomal membrane protein, controls polarized growth in Saccharomyces cerevisiae"Molecular Biology of the Cell. 14. 730-747 (2003)
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[Publications] Kawasaki.R., et al.: "The upstream regulator, Rsrlp, and downstream effectors, Giclp and Gic2p, of the Cdc42p small GTPase coordinately regulate initiation of budding in Saccharomyces cerevisiae"Genes to Cells. 8. 235-250 (2003)
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[Publications] Toi.H., et al.: "She4p/Dim1p interacts with the motor domain of unconventional myosins in the budding yeast, Saccharomyces cerevisiae"Molecular Biology of the Cell. 14. 2237-2249 (2003)