2003 Fiscal Year Annual Research Report
制御された膜タンパク質切断(RIP)による膜を越えたストレス応答機構の解析
Project/Area Number |
15370084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋山 芳展 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (10192460)
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Keywords | 大腸菌 / ストレス応答 / 膜プロテアーゼ / 膜タンパク質 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
大腸菌のシグマ因子σ^Eはこの表層ストレス応答経路の一つに関わる。σ^Eは、ストレスに曝されていない時はアンチσ^E因子RseA(一回膜貫通型膜タンパク質)と結合して不活性状態に保たれている。ストレスに曝されると、内膜のプロテアーゼDegSが活性化されてRseAが切断され、最終的にσ^Eが活性化される。我々は、RseAがDegSによるペリプラズム領域での切断に引き続いて、細胞質膜プロテアーゼYaeLにより2段階目の切断を受けることを見いだし、このYaeLによるRseAの切断が表層ストレス応答に必須であることを明らかにした。 YaeLは完全長のRseA(DegSによる切断を受けていない分子)は切断出来ない。YaeLの完全長RseAに対する切断機能はどのように抑制されているのだろうか?YaeLはペリプラズム領域にPDZ様ドメインを持つが、このPDZドメインを欠失させたYaeL変異体やPDZドメイン中の保存された残基の置換変異体は、DegSによる第一段切断に依存することなくRseAを切断し、σ^E経路を構成的に活性化しうることが明らかとなった。一方、RseA側にもこの抑制機構に関与する領域があることがわかった。RseAのペリプラズム領域の種々の変異体を作成してそのYaeLに依存する分解を調べたところ、グルタミン残基に富んだ約10残基ほどの2カ所の領域(Q1、Q2領域)を欠失させたり、これら領域のグルタミン残基をアラニンに置換すると、RseAがDegSに依存せずにYaeLにより切断を受けるようになった。σ^Eストレス応答経路の調節には、ストレスシグナルによるDegSの活性化と同時に、ストレスにさらされていない時の、YaeLのPDZドメインとRseAのQ1/Q2領域、すなわちプロテアーゼと基質両者の持つドメイン・領域による抑制機構が重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)