2004 Fiscal Year Annual Research Report
核膜孔複合体通過機構:蛍光1分子観察で得られた通過モデルの分子的証明
Project/Area Number |
15370090
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
今本 尚子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 主任研究員 (20202145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小瀬 真吾 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 研究員 (90333278)
小池 牧子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 協力研究員 (30391949)
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Keywords | 核膜孔複合体 / Importinβ / 低分子量GTPase Ran / セミインタクト細胞 / β-カテニン / 核局在化シグナル / 核膜孔複合体構成因子 |
Research Abstract |
1分子可視化技術を利用して輸送担体importinβと核膜孔複合体の相互作用を定量的解析によって調べたところ、核膜孔複合体にはimportinβに対するおよそ70nM程度のアフィニティーを示す結合サイトと、0.3nM程度の非常に強い結合サイトが存在することが明らかになった。細胞質から核内に向かった通過反応において、検出された強い結合サイトが通過反応に実際に必要であるかどうかが分野の議論を呼んだ。このため、強い結合サイトの分子実体を知り、それが通過反応に必要であるかどうかを知ることを、まず最初の目標とした。結合実験などの生化学的解析から、この強い結合サイトを構成する核膜孔複合体構成因子として、核膜孔複合体の核質側バスケット状構造の底に存在するNup153が考えられた。そこで、RNAiでNup153をknock downした細胞のセミインタク細胞を用いた核タンパク質輸送再構成系を利用して、importinβ並びにそれが運搬する塩基性NLS基質の核内輸送反応を調べた。その結果、塩基性NLS基質の核内輸送反応の顕著な低下が認められた。現在、核膜孔複合体と強い結合活性をもたない輸送担体transportinで運搬されるM9基質や、単独で核膜孔複合体を通過することを証明しているβ-カテニンの核内輸送がNup153を必要とするのかを検討しており、それらの結果を合わせて報告する予定である。また、この研究の過程において、importinβやβカテニンの細胞質から核に向かった通過反応と、核から細胞質に向かった通過反応では、分子間相互作用に違いがあるという予想外の結果が点変異体と欠損変異体、並びに核膜孔複合体に対する阻害抗体を用いた実験から得られ、その結果の一部はJ.Biol.Chem.(2004)に報告した。核膜孔複合体の機能と構築を考える上で重要な知見であるが、今後、モデル提唱と具体的な実体を把握する必要がある。
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