2005 Fiscal Year Annual Research Report
染色体凝縮タンパク質コンデンシンの細胞周期における制御機構の解析
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15370091
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
木村 圭志 独立行政法人理化学研究所, 花岡細胞生理学研究室, 先任研究員 (50332268)
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Keywords | コンデンシン / リン酸化 / CK2 / 細胞周期 / 染色体凝縮 / Cdc2 / クロマチン構造 / SMC |
Research Abstract |
コンデンシンは、SMC2/SMC4の二つのSMC ATPaseタンパク質と三つのnon-SMCタンパク質からなるタンパク質複合体で、M期の染色体凝縮に必須の因子である。最近になって、修復、チェックポイントの活性化、転写制御などの間期におけるDNA代謝にもこの酵素が関与することが報告されている。コンデンシンは、in vitroでATP依存的にDNAに正のスーパーコイルを導入する活性(スーパーコイリング活性)を持つ。 我々は、コンデンシンが間期においてM期とは別の部位がCK2によりリン酸化されていることを見いだした。M期でのリン酸化とは逆に、間期リン酸化はコンデンシンの活性を著しく抑制した。細胞周期における、このCK2による抑制的なリン酸化の制御を調べたところ、M期染色体上でCK2部位のリン酸化レベルが著しく低下していた。さらに、ツメガエルの卵抽出液の系において、コンデンシンのCK2コンセンサス部位のリン酸化レベルを上昇させると、染色体の凝縮は阻害された。これらの結果から、細胞周期においてコンデンシンの機能は、従来から考えられていたM期キナーゼCdc2だけでなく、CK2によっても制御されていることが示唆された。一方間期での役割を調べるために、精製したコンデンシンをin vitro転写系に加えると、転写レベルは抑制された。また、その抑制はCK2によるコンデンシンのリン酸化により解除された。これらの結果から、コンデンシンは、間期においてもクロマチン構造をコンパクトな構造に転換するのに寄与し、CK2リン酸化によるコンデンシン活性の抑制は、クロマチン構造の弛緩と、その結果として転写活性化に関与している可能性が示唆された。
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