2005 Fiscal Year Annual Research Report
イネ・トランスポゾンmPingを植物体内で可動化する遺伝要因
Project/Area Number |
15380006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥本 裕 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90152438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷坂 隆俊 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026591)
中崎 鉄也 京都大学, 農学研究科, 講師 (60217693)
寺石 政義 京都大学, 農学研究科, 助手 (80378819)
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Keywords | イネ / トランスポゾン / MITEs / 転移機構 / 突然変異 |
Research Abstract |
イネ品種銀坊主の_γ線種子照射後代である細粒突然変異系統IM294は非自律性トランスポゾンmPingの挿入によってRurm1の機能を喪失(Rurm1^m)している。本年度は、Rurm1の機能喪失がmPing転移に及ぼす効果を明らかにするために、銀坊主、IM294、IM294の復帰突然変異個体(Rurm1^+/Rurm1^m)の後代で得られた正常粒系統(Rurm1^+/Rurm1^+)と細粒系統(Rurm1^m/Rurm1^m)のsib系統、IM294に銀坊主を4回戻し交雑したRurm1の同質遺伝子系統およびmPingの不正確な切り出し(filler-DNA)によって機能を喪失したRurm1(Rurm1^f)をもつ系統を用いて、Rurm1およびPing、PongのORFの転写量をリアルタイムPCRによって調査した。Rurm1の転写量は、Rurm1^+やRurm1^fホモ系統に比べて、Rurm1^mホモ系統では半減したこと(p<0.01)から、mPingの挿入によるRurm1の転写後サイレンシング機構の存在が示唆された。Pongの転写はRurm1の遺伝子型に影響されなかったのに対して、Pingでは、Rurm1の機能喪失によってPing-ORF1およびORF2の転写量はともに平均して2.0および1.8倍に増加することが明らかとなった。また、トランスポゾンディスプレイ法によってsib系統間のmPing転移頻度を調査したところ、Rurm1^+ホモ系統ではmPingの転移を示す新規バンドが20本に1本観察されたのに対して、Rurm1^mホモ系統では5本であった。これらの結果から、Rurm1の機能喪失は、Pingの転写量を上昇させることによって、mPingの転移を促進していると結論された。現在、RURM1タンパク質の機能を解明するために、GST融合タンパク質発現系を用いたRURM1タンパク質の精製を試みている。
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