2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380007
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
一井 眞比古 香川大学, 学長 (50036076)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 真 香川大学, 農学部, 教授 (40216891)
|
Keywords | イネ / ケイ酸 / 根 / 養分 / 吸収 / 病害虫抵抗性 |
Research Abstract |
高等植物の中でイネは顕著にケイ酸を積極吸収することが知られている.ケイ素(Si)は植物体を強固にし,病虫害に対する複合抵抗性を付与し,倒伏を軽減するなど有益な栄養元素であることが知られている.しかし,このようなケイ酸の有益効果がある半面,稲体のケイ酸含量が高いことは家畜の飼料としての嗜好性や吸収消化特性を低下させ,イネを飼料として多用途に利用する際の大きな障壁になっている.したがって,イネのケイ酸吸収機構を解明することは,稲体のケイ酸含量の用途に応じた最適制御に向けて途を開くと期待される.本研究では,アジ化ナトリウム処理によって誘発した,ケイ酸吸収量が著しく低下した突然変異体を用い,原因遺伝子の分子遺伝学的解析と耐病性や虫害抵抗性こ及ぼす影響について調査した. ケイ酸低吸収性の原因遺伝子はイネ第2染色体に座乗することを突き止めたが,我々より先に岡山大学資源生物科学研究所の馬らのグループが原因遺伝子を単離した.その遺伝子は水吸収に関与するアクアポリンの一種であることが明らかにされた. そこで我々は,低ケイ酸含量突然変異体の特性評価に重点を置いた研究を進めた.圃場で栽培した成熟期の植物体を器官別に分析したところ,低ケイ酸吸収突然変異体ではケイ酸含有量が著しく減少していたが,リグニンの含有率が増大しこれにより植物体の強度が補償されていた.一方,幼苗期におけるいもち病抵抗性をオオチカラおよびGR1の幼苗(5・6葉期)に対しイネいもち病菌O-167菌株(レース333.1)を葉鞘に接種し,48時間後に胞子発芽、付着器形成および侵入率を調査したところ,突然変異体で抵抗性程度の減少が見られた. 圃場栽培した植物を用いて、セジロウンカの産卵痕数ならびにコブノメイガの食害葉数を調査したところ,突然変異体の虫害抵抗性が低下していることが明らかになった.
|
Research Products
(2 results)