2004 Fiscal Year Annual Research Report
リポキシゲナーゼ活性操作による豆腐の食味の向上と多様化を図る新育種法の開発
Project/Area Number |
15380009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜多村 啓介 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50111240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽鹿 牧太 農業技術研究機構, 作物研究所・畑作物研究部, 室長
島田 和子 山口県立大学, 生活科学部, 教授 (70145936)
松井 健二 山口大学, 農学部, 助教授 (90199729)
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Keywords | ダイズ / リポキシゲナーゼ / 豆腐風味成分 / 育種法開発 |
Research Abstract |
昨年リポキシゲナーゼ(Lox-1,Lox-2,Lox-3)活性が部分的に低下した品種(エンレイ、すずおとめ、新丹波黒)を認め、今夏、北大圃場内でハウス栽培した。新丹波黒のLox-1活性は、普通品種の1/3程度、Lox-2・Lox-3活性は1/2程度と低いことが確認できた。しかし、エンレイ、すずおとめの活性は、普通品種とほぼ同程度であった。 豆腐の風味に及ぼすLox活性の影響を調べるために、15年度産の114品種のLox活性を測定し、この中から活性の高い4品種と低い4品種を選抜した。これらの大豆から調製した豆腐の香気成分量は活性の高い大豆ほど多いという結果は得られなかった。一方、温暖地で栽培された大豆ほどhexanoic acid等の香気成分量が多かったことから、大豆の収穫・保存温度等が香気成分生成に大きく影響すると推察した。 生成した脂質過酸化物が豆腐加工時に熱分解を受け、一部は揮発性物質へと変化し、また、一部はアミノ酸等と結合し、種々の呈味成分を生成する可能性がある。そこで、スズユタカ(Lox-1,Lox-2,Lox-3有)、ゆめゆたか(Lox-1有)、関東102号(Lox-2有)、九州119号(Lox-3有)、いちひめ(Lox欠)より磨砕液を調製し、過酸化脂質量を定量した。その結果、関東102号が最も多くの酸化脂質を生成し、Lox-2が酸化脂質生成に大きく貢献すること、また、遊離脂肪酸の酸化物に比べ、グリセロ脂質酸化物が多く、Lox-2はトリアシルグリセロールを直接酸化することが明らかとなった。また一部はヒドロキシ基に還元後、さらに酸化されてカルボニル基へと変換されていた。ゆめゆたか、いちひめでは酸化脂質の生成量が検出限界以下に抑えられていた。こうした酸化脂質生成物の質・量の差が豆腐のこくの違いを反映するのであろう。 今後は豆腐の風味の多様化を図るために、Lox組成および活性との関係解明を進めるとともに、Lox選抜のためにDNAマーカーを開発する。
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