2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物根-士壌界面における粘液・境界細胞複合体の機能的意義
Project/Area Number |
15380014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯嶋 盛雄 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (60252277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 茂紀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (00143404)
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Keywords | 境界細胞 / 原生動物 / 国際研究者交流 / 根冠 / 土壌の機械的ストレス / 粘液分泌 / Border cell / 連合王国:ドイツ |
Research Abstract |
本研究は、根圏土壌中における境界複合体の生態的な意義を多面的に解明することを目的として、4ヵ年にわたり研究を実施した。最終年に当る今年度は、土壌動物と境界複合体の相互関係を定量的に検討するとともに、研究総括として「根冠の形態と機能」に関する総説を執筆した。まず、境界複合体の未知の機能として、原生動物と植物との共生的関係を仲介する働きがあることを証明した。すなわち、原生動物が存在することによって植物根の成長が促進されるという最新の仮説を、境界複合体の放出量が異なるイネ品種群を供試して定量的に検証した。陸稲、水稲、インディカ、ジャポニカの生態型から23品種を選び、根冠粘液量を水耕栽培条件下で求めた。その中で、粘液量が顕著に異なる16品種を選び、その境界細胞放出量を調べるとともに、原生動物が存在する土壌と存在しない土壌で2週間成育させ乾物生産と根系発達を精査した。その結果、原生動物の存在下で側根成長が有意に促進した品種が半数みられ、大半の品種で有意差を示さなくとも促進傾向を認めた。さらに原生動物による側根の成長促進と、粘液量および境界細胞数との間には正の相関関係を認めた。以上の結果から、原生動物の存在下での成長促進を確認するとともに、この成長促進程度には境界複合体の放出量が関与することを定量的に示した。すなわち、境界複合体は、土壌の原生動物と植物との共生的関係を仲介する働きがあることを初めて実験値とともに提案した。本論文は、海外共同研究者のボンコウスキーとの共著として、現在投稿準備中である。また、共同研究者の森田、バーロー(海外共同研究者)とともに境界複合体ならびに根冠の形態と機能に関する総説を執筆し、Plant Production Science誌に投稿し、掲載許可を受けた。
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Research Products
(6 results)