2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河鰭 実之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (10234113)
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Keywords | トマト / ソース / シンク / 篩管液 / 糖濃度 / 木部液 / 離層 / ヒートガードリング |
Research Abstract |
果実へ流入する水の大部分は師部を通って果実に到達するため,果実を構成する炭水化物と水は大部分が師部液により構成されると考えられる.したがって,師部液の糖濃度は,果実の糖濃度を決定する主要な要因と予想される.しかしながら,トマト果実を含む主要な園芸作物においては師部液の糖濃度を適切に測定する方法がなかった.これまでの研究で,修正EDTA法により果柄切り口より滲出液を回収し,回収液中の師部液量をヒートガードリング法により推定することによって,師部液糖濃度を決定する方法を開発した.本年の研究では,滲出液中のCa濃度を測定することにより木部液の滲出量を推定することを試みた.Caは木部液には含まれるが師部液には含まれないため,Caの流出量は木部液の滲出量に比例する.Caの流出量を測定することによっても,ヒートガードリング法によらずに師部液の量を推定することができる. 1.一般にEDTAはCaの定量を阻害する.滲出液中のCa濃度を決定するためには,EDTAに阻害されずに微量のCaを定量する必要があった.種々の方法を検討した結果,αアミラーゼ法により定量が可能であることが分かった. 2.トマト果柄には離層があり,これが木部液の果実への流入を阻害していると推定されている.EDTA溶液に浸漬した果柄部から滲出する木部液を測定した結果,離層を切除することによって約40倍増加した.このことは,離層に大きな水の通導抵抗が存在することをしめした. 3.ヒートガードリングは師部輸送を特異的に阻害し木部輸送には影響しないと考えられている.しかし,このことは十分に検証されていない.そこでヒートガードリングの有無が木部液輸送に与える影響をCaの流出量により評価した.その結果,ヒートガードリング前後で有意なCaの流出量変化は認められず,ヒートガードリングが師部輸送を特異的に阻害することを示した.
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