2003 Fiscal Year Annual Research Report
性を操る体内共生微生物によるハダニ類の性比異常と性特異的遺伝子の解析
Project/Area Number |
15380040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 博明 独)農業生物資源研究所, チーム長(研究職) (40343991)
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Keywords | CFB細菌 / 細胞質不和合性 / スギナミハダニ / 人工培養 / EST解析 |
Research Abstract |
本研究では、ハダニ類の性を操る新たな微生物であるCFB細菌の探査、感染系統におけるCFB細菌の機能の解析および性特異的遺伝子の探索を目的として、次の点を検討した。 1.ハダニ類22種30系統について、CFBを検出するプライマーによって、感染の有無を検討したところ、4種4系統(スギナミハダニ、チビコブハダニ、ミズナラハダニ、ナミハダニモドキ)に感染が確認できた。 2.これら4系統を抗生物質(テトラサイクリン)で処理し、CFB細菌を除去した後、感染個体♀×感染個体♂、非感染個体♀×非感染個体♂、感染個体♀×非感染個体♂および非感染個体♀×感染個体♂の交配を行い、どのような性比異常が起こるかを検討した。その結果、スギナミハダニの非感染個体♀×感染個体♂の交配では、ふ化率と雌率が他の組み合わせに比べて著しく低下する細胞質不和合性を誘起することが分かった。これは、ハダニではもちろん、昆虫においても始めての発見であったが、一歩遅く、寄生蜂で報告されてしまった(Hunter et al., 2003)。その他の3種では、CFB細菌がハダニの性を操作している証拠を得ることが出来なかった。 3.ハダニ4系統に感染していたCFB細菌の16S rDNA領域(1,446bp)の塩基配列に基づいて系統解析を行ったところ、これまでに報告されている性を操るCFB細菌と同じグループに属していることが分かった。 4.CFB細菌の培養については、マダニlxodes scapularisから分離されたCFB細菌を昆虫細胞ですでに培養しており、培養細胞内で人工培養が可能であることが分かった。 5.性特異的遺伝子の探索に関しては、昆虫類のEST解析により、性特異的候補遺伝子を多数得ているので、これらに相同な遺伝子をナミハダニで探索することにより得ることが可能であり、昆虫とハダニでそれらの遺伝子の機能比較も可能である。
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