2004 Fiscal Year Annual Research Report
エンドファイト窒素固定菌の核酸塩基配列からの直接探索
Project/Area Number |
15380047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米山 忠克 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70124360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 象太郎 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所, 研究室長(研究職) (00370578)
大脇 良成 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構, 中央農業総合研究センター, 主任研究官 (60355542)
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Keywords | 生物的窒素固定 / エンドファイト / サトウキビ / サツマイモ / パイナップル / 窒素固定 / nifH / PCR |
Research Abstract |
これまでδ^<15>N法によって畑で栽培されたサトウキビ、サツマイモ、パイナップルの体内で生物的窒素固定が生じており、その寄与は植物Nの10〜40%となることを世界ではじめて示した。本年の研究はdinitrogenase reductaseをコードするnifH遺伝子RNAをPCR法によって増幅し、既知の塩基配列との相同性を検索することで、直接発現している遺伝子を検出した。宮古島と石垣島で採取したサトウキビの茎と葉からRNAを抽出し転写を行なった。このcDNAを鋳型としてPCR実験を行なったところ、宮古島のサトウキビ3品種の茎からRNAの増幅が確認され、40クローンの配列を解析した。25クローンはClostridium属と15クローンはKlebsiella属と高い相同性をした。本研究過程で市販のプライマーにnifH遺伝子の汚染がみられ、注意を要するとして学術誌に報告した。 中央農業総合研究センター圃場(淡色黒ボク土)で栽培した収穫期のサツマイモ(ベニアズマ)の茎より抽出したRNAから、RT-PCRによりnifH遺伝子断片の増幅を試みた。サツマイモの茎から抽出したRNAを鋳型として、ランダムプライマーを用いてcDNA合成を行った。このcDNAからはPCR反応によりサツマイモの18S rRNA遺伝子の増幅が認められたことから、抽出したRNAは逆転写反応およびPCR反応に十分な純度を持っものと判断された。一方このcDNAを鋳型とした、nifH遺伝子特異的な2組のプライマーによるRT-nested PCRでは、目的の分子量付近にバンドの検出は認められなかった。このことから、今回用いたサツマイモの茎のサンプルでは、エンドファイト窒素固定菌のnifH遺伝子発現は低いものと推察された。 石垣島の国際農林水産業研究センター沖縄支所の圃場からパイナップル2品種(スムースカイエン、ハニーブライト)の葉を採取し、TRlzolを用いてRNAを抽出した後、カラムで精製し、DNase処理を行った。RNAをテンプレートとし、nifH遺伝子特異的プライマーを用いて逆転写反応を行い、次に逆転写反応の産物をテンプレートとし、nifH遺伝子特異的プライマーを用いたnested PCRを行った。PCR産物は大腸菌にTAクローニングし、クローンの塩基配列を解析した。ハニーブライトの葉からはRNAが回収できなかった。スムースカイエンの葉から得られた5クローンの塩基配列はXanthobacter属と、1クローンはAzoarcus属などと最も高い相同性を示した。
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Research Products
(6 results)