2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50157393)
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Keywords | ホウ素 / 安定同位体(ホウ素) / ヒマワリ / 導管輸送 |
Research Abstract |
ホウ素は高等植物の必須元素であり、ホウ素が欠乏すると根の伸長、新葉の展開が停止する。特に開花期には要求量が多く、欠乏すると花粉の形成不良や不稔を引き起こし、子実収量が激減する。さらにホウ素は植物体内での移動性が乏しく、常に土壌から供給されていることが必要である。従って、開花期に下位葉からホウ素が移動すれば、生殖器官はホウ素の供給を受けることができ、土壌のホウ素欠乏による影響を受けにくくなることが期待できる。そこで植物体内におけるホウ素の動性を検討するため、^<10.8>Bを供給して栽培したヒマワリ幼植物の培養液に^<10>Bを与え、一定時間後の各葉位のホウ素の同位体比を測定し、ホウ素の移動度を推定した(実験1)。さらに水耕したヒマワリ幼植物の地上部を根際で切除し、根から地上部に移行する導管液を採取した。地上部切除と同時に培養液の^<10.8>Bを^<10>Bに切り替え、導管液中のホウ素の比活性の経時的変化を追跡した(実験2)。実験2から、導管液のホウ素の比活性は培養液交換後、6時間でほぼ外液のホウ素の比活性と等しくなった。ヒマワリの根の地上部に輸送されるホウ素のプールは半減期2時間程度の、すばやく外液と交換できるホウ素から構成されていた。実験1からは、最上位葉に運搬されるホウ素が根から導管を通って運ばれるホウ素ではないことが示された。すなわちホウ素の比活性が短時間で上昇するのは第2、3様であって、第一葉の比活性は12時間遅れて上昇した。つまり、第一葉に運ばれるホウ素は下位葉を経由していることが示された。これらの検討から、ホウ素は体内で導管と師管の双方を経由して輸送されていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Matsuura K., Miyagawa I., Kobayashi M., Ohta D., Matoh T.: "Arabidopsis 3-deoxy-D-manno-oct-2-ulosonate-8-phosphate synthase : cDNA cloning and expression analyse"Journal of Experimental Botany. 54. 1785-1878 (2003)