2004 Fiscal Year Annual Research Report
微生物はカーボネーション下でATPを消耗しH^+自殺する
Project/Area Number |
15380065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下田 満哉 九州大学, 農学研究院, 教授 (70149871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井倉 則之 九州大学, 農学研究院, 助教授 (30260722)
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Keywords | 二酸化炭素 / 加圧カーボネーション / 非加熱殺菌 / 細胞内pH / カーボネーションバイオリアクター |
Research Abstract |
1)加圧カーボネーション下に存在する微生物の細胞内pHの測定を可能とする蛍光プローブ(carboxylfluoreseindiacetate ; cFDA)法を用いて、カーボネーション圧力と細胞内pHの低下挙動を明らかにした。二酸化炭素の圧力は、1.0〜6.0MPaで行ったところ処理圧力3MPa前後で変曲点が認められた。 2)加圧カーボネーション下にある酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞内の加水分解酵素(alkaline phosphatase, invertase, fructose-1,6-bisphosphatase)活性の失活挙動を追跡した。7.0MPa,35℃の処理において、90%失活に要する時間はそれぞれ10.5,13.8,1.9minであった。特に、エネルギー代謝の最重要酵素であるfructose-1,6-bisphosphataseの急速な失活は細胞内ATPの生産にとって決定的な打撃を与えると考えられた。 3)加圧カーボネーション下で死滅した酵母菌体の可溶化(自己消化)による有用物質生産を試みたが、カーボネーション処理された菌体の自己消化速度を有意に高めることはできなかった。 4)カーボネーションリアクターの構築を目的として、回分式リアクターを試作して、プロテアーゼによるタンパク質分解速度を種々の条件下で測定した。その結果、2〜3MPa程度のカーボネーションにより酸性プロテアーゼ活性がコントロールの80〜100%増大することを明らかにした。この結果は、無菌カーボネーションリアクターの構築が可能なことを示唆した。 5)ある種の酵母で顕著なカーボネーション耐性の獲得が認められた。今後、カーボネーション耐性を獲得した細胞からタンパク質を分離し、二次元電気泳動に供し各スポットの同定を行う。
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