2005 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物精巣特異的ポリ(A)ポリメラーゼTPAPによる精子形態形成制御の分子機構
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15380068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柏原 真一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (00254318)
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Keywords | 精子形成 / ポリ(A)鎖 / RNA結合タンパク質 / タンパク質輸送 / TPAP / 細胞質ポリアデニル化反応 / mRNA |
Research Abstract |
哺乳動物精子形成過程での精細胞特異的ポリAポリメラーゼTPAPの機能と役割を解明するために研究を行い,次のような研究成果が得られた。 (1)TPAPがどのようなmRNAと相互作用しているのかを明らかにするために,マウス精巣抽出液を抗TPAP抗体で免疫沈降させ,RIP法によって同定を試みた。減数分裂後の精子形態形成に関与するタンパク質(プロタミンやTP1,Fsc1など)と転写因子群(TFIIAγ,CREMτ,およびTAF10など)をコードするmRNAが同定され,TPAPにはmRNA認識に選択性があることが明確になった。 (2)実際にTPAPが上記mRNAへ直接的に結合しているかどうかを明らかにするために,TFIIAγのmRNA3'非翻訳領域を合成してそれに結合するマウス精巣抽出液中のタンパク質を調べた。非翻訳領域RNAにポリA鎖が付加されている場合だけに,ポリA鎖結合タンパク質PABPC1が結合していた。TPAPは,ポリA鎖の有無にかかわらずその非翻訳領域RNAには結合していなかった。したがって,TPAPは少なくともTFIIAγのmRNAへ直接的に結合せず,TPAPを含む何らかの複合体として相互作用していることが示唆された。 (3)TPAPにはmRNA認識の選択性があることが明確になったので,その選択性を規定する因子の同定を試みた。マウス精巣抽出液を抗TPAP抗体で免疫沈降し,TPAPとともに沈殿したタンパク質を質量分析で解析した。その結果,ヘリカーゼの一種であるRecQLが同定された。GSTプルダウン法によって,TPAPとRecQLの直接的な結合が確認できた。
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