2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 信 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40253512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 豪 大坂大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20263204)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / シグナル伝達 / 代謝酵素 / X-線結晶構造解析 / ムチンボックス / 阻害剤 / ホモロジーモデリング / ガングリオシド |
Research Abstract |
セラミドを分子内に持つスフィンゴ脂質は,脊椎動物では主として形質膜マイクロドメイン(ラフト)に存在し,細胞の接着やシグナル伝達の制御に関わっている。本研究では,私たちが世界に先駆けて見いだし,クローニングしたスフィンゴ脂質代謝酵素(エンドグリコセラミダーゼ,スフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼ,セラミダーゼ,微生物由来のエキソ型ガングリオシド分解酵素)の立体構造およびそれらの触媒機構をX-線構造解析と点変異導入法を含む分子生物学的な手法で明らかにすることを第一の目的とする。また,これら代謝酵素の阻害剤の開発も視野に入れる。ほ乳動物セラミダーゼの機能を研究する過程でムチンボックス(セリン,スレオニン,プロリンに富む約30アミノ酸からなるドメイン)がセラミダーゼを形質膜貫通II型蛋白質へリクルートするために必須であること,オワンクラゲの緑色蛍光蛋白質(GFP)にラットのシグナル配列とムチンボックスを融合させるとGFPは形質膜貫通II型蛋白質となることを見いだした。本研究の第二の目的は,その分子機構を明らかにすると共に様々な可溶性蛋白質を形質膜貫通II型蛋白質に変換する技術の最適化を計ることである。 本年度は,以下の研究を実施した。 (1)中性セラミダーゼの大量精製法を完成し,X-線結晶構造解析に着手した。現在,3Å分解能程度の回折が得られている。次年度は,解像度を上げ,中性セラミダーゼの完全構造解析を成し遂げたい。 (2)エンドグリコセラミダーゼがセルラーゼ(エンドβ1,4グルカナーゼ)と相同性が高いことを見いだし,ホモロジーモデリングで構造を決定した。 (3)分子生物学的なアプローチから中性セラミダーゼのC-末端部位に存在するPhe756とIle758が本酵素の活性,細胞内局在ホールディングに極めて重要であることを見いだした。この2つのアミノ酸に変異を入れるとプロテアソームで迅速に分解されてしまうことを示した(平成15年度日本生化学会で報告)。 (4)Paenibacillus sp.から発現クローニング法により新奇ガングリオシド分解酔素遺伝子を単離した(平成15年度日本生化学会で報告)。今後,大量精製系を確立し,X-線結晶構造解析を試みる。 (5)レクチン,スフィンゴ脂質代謝酵素等にムチンボックスを付与することで各々のタンパク質を形質膜にリクルートさせ,そこで機能的に働くことを示した(平成15年度日本農芸化学会で報告)。 (6)海藻の抽出液中にセラミダーゼの阻害活性を見いだし,現在この低分子化合物を精製中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Motohiro Tani et al.: "O-glycosylation of mucin-like domain retains the neutral ceramidase on the plasma membranes as a type II integral membrane protein"Journal of Biological Chemistry. 278(12). 10523-10530 (2003)
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[Publications] Hatsumi Monjusho et al.: "A neutral ceramidase homologue from Dictyosteriurm discoideum exhibits an acidic pH optimum."Biochemical Journal. 376. 473-479 (2003)
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[Publications] 伊東 信: "翻訳後O-グリカン修飾による中性セラミダーゼの形質膜II型タンパク質へのリクルート"タンパク質核酸酵素. 48(8). 1171-1178 (2003)