2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物のレドックス制御による遺伝子発現の解明と分子育種への応用
Project/Area Number |
15380078
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重岡 成 近畿大学, 農学部, 教授 (80140341)
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Keywords | アスコルビン酸ペルオキシダー / レドックス制御 / 活性酸素種 / 光・酸化的ストレス |
Research Abstract |
本研究はレドックス制御による遺伝子発現調節の分子機構の解明を目的として、以下の3項目について研究を行った。 1.APXアイソザイムの遺伝子発現制御機構と細胞内レドックスの関連性の解析 細胞質型APX(cAPX)の発現調節機構について解析を行った。その結果、ストレス初期のcAPXの誘導はプラストキノンプールのレドックス状態が、続くストレスにより上昇した細胞内H_2O_2レベルによって更にcAPXが誘導を受けていることが明らかとなった(Yabuta et al., 2004)。また、植物の葉における老化と抗酸化物質/酵素との関係について解析を行った。その結果、若い葉に比べ老化葉ではス酸化ストレスに対し感受性が高く、抗酸化物質/酵素レベルが低いことが明らかとなった。また、ストレス条件下ではアスコルビン酸レベルと葉緑体型APX活性が著しく低下していたことから、これらが光・酸化的ストレスの初期ターゲットであることが明らかとなった(Ohe et al.,2005)。 2.レドックス制御による発現遺伝子の系統解析 cAPXを抑制したタバコBY-2細胞(cAPX-S2および-S3)を作製した。cAPX-S2および-S3のレドックス状態を評価した結果、野生株に比べ酸化状態にシフトしていた。レドックス状態の変化に応じて誘導されている遺伝子群の同定を目的に、サブトラクション法により、野生株と比べてcAPX-S3で誘導されている遺伝子の単離を行った。その結果、様々なストレス防御に関与する遺伝子がcAPX-S3で誘導されていた(Ishikawa et al., 2005)。 3.レドックス制御因子を導入した形質転換植物の分子育種 上記で得られたシグナル伝達に関与する遺伝子群をそれぞれ過剰発現させた形質転換シロイヌナズナの作出を行い、マイクロアレイにより、誘導を受けている遺伝子を同定し、導入遺伝子の特性を明らかにした。
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Research Products
(3 results)