2003 Fiscal Year Annual Research Report
キノプロテインの構造と電子移動およびそのバイオ電極デバイスへの応用
Project/Area Number |
15380082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加納 健司 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10152828)
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Keywords | ヒスタミン脱水素酵素 / 6-S-cyteinyl-FMN / 発現系構築 / キノヘモプロテイン / アミン脱水素酵素 / アルコール脱水素酵素 / 直接電子移動型酵素電極反応 / バイオ電池 |
Research Abstract |
(1)放線菌類のヒスタミン脱水素酵素(HmDH)の構造解析と細胞内電子移動特性 HmDHのクローニング,シークエンス,活性中心の化学分析を行い,HmDHの一次構造解析に成功した.HmDHの活性中心はキノンであるとの報告もされていたが,本研究の結果,HmDHは6-S-cyteinyl-FMNおよび4Fe-4Sクラスターを分子内酸化還元中心とする非常にまれな酵素であることがわかった.類似酵素の場合,その生理的電子受容体はelectron transfer flavoprotein (ETF)であるとされているが,HmDHのそれは,ETFではない可能性が示唆された.さらに,HmDHの大腸菌での大量発現に成功した.大腸菌での発現系では,約40%のHmDHは,FMNで修飾されることなく,発現されることがわかった.今後は,アポ型タンパク質の単離とその特性評価が重要であると考えている. (2)キノヘモプロテインの直接電子移動系電極反応 脱窒菌が産生するキノヘモプロテインアミン脱水素酵素(QH-AmDH)と電子受容体電子移動反応に及ぼすイオン強度の効果を検討した.電気分析法による平衡論的解析と,ストップトフロー法による速度論的解析の結果,QH-AmDHの電子供与部位は酸化還元電位的に一番下流のMet-heme cである可能性が示唆され,その近傍の正電荷が,電子移動反応に大きく寄与することがわかった.この知見に基づき,電極を負電荷修飾し,QH-AmDHの電極での直接電子移動反応の実現を試みたが,現時点では,観測に成功していない.今後,さらに,電極の微細電荷の調整が必要であると考えている.一方,酢酸菌由来のキノヘモプロテインアルコール脱水素酵素(QH-ADH)の直接電子移動型電極触媒反応についても電気化学的解析を行った.その結果,4つのヘムのうち,酸化還元電位的に下流から2番目のheme cが電子供与サイトとして機能すると結論した.この考えに基づき,はじめて電流-電圧曲線の理論的解析に成功した. (3)バイオ電池への展開 これら脱水素酵素反応系をアノード系触媒とし,またビリルビンオキシダーゼ触媒のカソード極と組み合わせたバイオ電池の基本特性の評価を行った.電流密度的には,実用を視野に入れることができるまで向上させることに成功した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kenji Kano: "Redox Properties of Quinohemoprotein Amine Dehydrogenase from Paracoccus denitrifficans"Biochim.Biophys.Acta. 1647・1/2. 289-296 (2003)
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[Publications] Kenji Kano: "Structure of the Phenylhydrazine Adduct of the Quinohemoprotein Amine Dehydrogenase from Paracoccus denitrificans at 1.7 Å Resolution"Acta Crystallogr.D. 59・9. 1551-1556 (2003)
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[Publications] Kenji Kano: "Diaphorase/Naphthoquinone Derivative-modified Electrode as an Anode for Diffusion-Controlled Oxidation of NADH in Electrochemical Cells"Chem.Lett.. 32・10. 880-881 (2003)
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[Publications] Kenji Kano: "Kinetic Study of Direct Bioelectrocatalysis of Dioxygen Reduction with Bilirubin Oxidase at Carbon Electrodes"Electrochemistry. (in press). (2004)
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[Publications] Kenji Kano: "Separator-less One-compartment Bulk Electrolysis with a Small Auxiliary Electrode and Its Application to Spectroelectrochemistry"Electrochemistry. (in press). (2004)
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[Publications] Kenji Kano: "Effect of pH on the hydrogenase activity of Desulfovibrio vulgaris"Electroanalysis. (in press). (2004)