2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物に存在する細菌の鞭毛タンパク質フラジェリン受容システムに関する研究
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15380084
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
蔡 晃植 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (00263442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 恵 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教務職員 (50160130)
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Keywords | 植物免疫 / フラジェリン / タンパク質-タンパク質相互作用 / エリシター / 糖鎖 / イネ / 病害抵抗性 / 情報伝達 |
Research Abstract |
植物は自然界に存在するほとんどの病原菌を認識し免疫システムを誘導する。我々はこれまで、イネと植物病原細菌Acidovorax avenae菌株間に存在する宿主特異性決定機構について詳細な研究を行い、この菌の宿主特異性にイネの免疫システム誘導が密接に関与することを示すと同時に、イネが非親和性菌の鞭毛構成タンパク質フラジェリンを認識して免疫システムを誘導することを明らかにした。そこで、本研究ではイネによるフラジェリンの特異的認識機構を分子レベルで明らかにすることを目的とした。特に本年度はフラジェリン認識の特異性と認識部位に関する研究に中心をおいて研究を行った。その結果、イネ非親和性・親和性菌株のフラジェリン間に存在する免疫システム誘導の特異性は、アミノ酸配列の違いではなく、両フラジェリンに存在する糖鎖の違いに由来することを明らかにした。そこで、特異的認識に関与する糖鎖の位置とその構造についてアミノ酸分析と質量分析によって解析したところ、分子量約540の糖が3カ所に結合していることが明らかになった。そこで、この糖を欠損したフラジェリンを作成するため、鞭毛オペロン中に存在する糖鎖修飾酵素を破壊した変異体を作成した。得られた変異体からフラジェリンを精製し、免疫反応誘導特異性を検討したところ、予想通りこの分子では特異性が失われていることが明らかになった。次に、イネに存在する受容体の解析もおこなった。まず、ラベルリガンドの作成のため、様々な長さのフラジェリンを合成し活性を測定したところ、C末端側の断片に活性が認められた。この断片にはチロシン残基が二つ存在したため、チロシンのヨウ素ラベルのために、それぞれのチロシンをアラニンに変換したリガンドを合成した。現在、この断片とヨウ素化断片の活性について調べている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Tanaka: "Flagellin from an incompatible strain of Acidovorax avenae mediates H202 generation accompanying hypersensitive cell death and expression of PAL, Cht-1, and PBZ1, but not of LOX in rice."Molecular Plant-Microbe Interaction. 16. 422-428 (2003)
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[Publications] M.Iwano: "Three-dimensional architecture of ribosomal DNA within barley nucleoli revealed with electron microscopy."Scanning. 25. 257-263 (2003)
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[Publications] K.Aoki: "Structural elucidation of novel phosphocholine-containing glycosylinositol-phosphoceramidein filamentous fungi and their induction of cell death of cultured rice cells."Biochemical Journal. In press.