2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物に存在する細菌の鞭毛タンパク質フラジェリン受容システムに関する研究
Project/Area Number |
15380084
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
蔡 晃植 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (00263442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 恵 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (50160130)
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Keywords | 植物免疫 / フラジェリン / タンパク質・タンパク質相互作用 / エリシター / 情報認識 / イネ / 病害抵抗性 / 情報伝達 |
Research Abstract |
我々は、イネと植物病原細菌Acidovorax avenaeの菌株間に存在する宿主特異性決定機構について詳細な研究を行い、この菌の宿主特異性にイネの免疫システム誘導が密接に関与することを示すと同時に、イネが非親和性菌の鞭毛構成タンパク質フラジェリンを認識して免疫システムを誘導することを明らかにした。そこで、本研究ではイネによるフラジェリンの特異的認識機構を分子レベルで明らかにすることを目的とした。昨年度の研究で、フラジェリン認識の特異性と認識部位に関する分子知見が得られたので、本年度は、yeast two-hybrid法を用いたフラジェリン分子と特異的に結合するイネのタンパク質について詳細に解析した。イネ免疫反応誘導活性を有するC末端ドメインのフラジェリン断片をbaitに用いて、イネcDNAライブラリーのスクリーニングを行ったところ99個の候補クローンを得た。そこで、このうち75クローンを再度酵母に形質転換し、自律活性の有無と相互作用の再現性を調べた結果、FIP50(flagellin interacting protein)と名付けたクローンがフラジェリンのC末端ドメインとの相互作用活性を有すると判断された。FIP50遺伝子は機能未知のタンパク質をコードしており、イネ細胞内では細胞質に局在していた。そこで次に、in vitroでのフラジェリンとFIP50の相互作用を免疫沈降とBIACOAを用いて解析したところ、FIP50はフラジェリンC末端ドメインとin vitroでも相互作用することが確認された。本遺伝子の発現はN1141菌株接種およびフラジェリン処理によってのみ時間経過と共に減少することなどを考え合わせると、FIP50はフラジェリン認識とその情報伝達において重要であると推察された。
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