2005 Fiscal Year Annual Research Report
味覚障害の改善における亜鉛酵素の役割に関する生理学的研究
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15380087
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
駒井 三千夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80143022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40206280)
後藤 知子 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (00342783)
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Keywords | 亜鉛欠乏 / 味覚異常 / ラット / 炭酸脱水酵素(亜鉛酵素) / 亜鉛酵素 / 三叉神経舌枝 / 鼓索神経 / 摂食調節ペプチド |
Research Abstract |
実験動物としてラットを用いて、まず味覚障害発症の機構を亜鉛酵素である炭酸脱水酵素の関与の面から検討することによって味覚障害の機構を明らかにして、味覚障害の改善に役立てることを企図した。さらに、亜鉛欠乏時の食欲調節因子(食欲調節ペプチド遺伝子の発現)の変化をモニタリングすることにより、亜鉛欠乏性味覚異常の発症機構を解明する研究を行った。 1.味覚に関係していることが分かった炭酸脱水酵素の活性と味覚受容能変化: 亜鉛酵素としては、亜鉛欠乏時に発現が抑制されていることが示唆されていた、舌表皮組織中や唾液中の炭酸脱水酵素に焦点を当てて検討した。一つは、亜鉛欠乏の進行とともにこれら組織中の炭酸脱水酵素の発現が低下していくことを確認した。そして、この低下とともに三叉神経舌枝の炭酸水刺激味応答が低下することが確認できた。さらに、亜鉛欠乏動物に亜鉛を与えて欠乏を回復させると、炭酸脱水酵素活性と炭酸水刺激味応答の両方が経時的に10日ほどで回復することが分かった。また、両項目の回復の時間的経過も一致した。 2.亜鉛欠乏性味覚障害と食欲調節に関与する中枢性神経ペプチド分泌の制御機構 亜鉛欠乏時における主要な味の嗜好性の異常については、食欲調節系の神経ペプチドの代表的なもの、すなわち視床下部領域のレプチン、POMC、ニューロペプチドY(NPY)、オレキシン、グレリン、等々のmRNA発現をモニターし、分子生物学的手法で計測した。とくに、亜鉛欠乏においては4日目頃から急激な食塩嗜好の上昇が起こり、摂食量の方は欠乏飼料給餌後すぐに低下し(3日目程度で最小値)、その後は幾分増加→低下というような摂食サイクルを示すが、これと、食欲調節ペプチドの変動をモニタリングした。その結果、POMCやNPY発現がこの摂食調節に関与していることが示唆された。さらに詳細なマイクロダイアリシス装置を用いた検討が待たれる。
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Research Products
(2 results)