2005 Fiscal Year Annual Research Report
血圧調節に関わるペプチドの活性発現機構の多面的解明と降圧食品設計の新指針提案
Project/Area Number |
15380094
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松井 利郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (20238942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 清 九州大学, 農学研究院, 教授 (80038322)
木元 幸一 東京家政大学, 栄養科学科, 教授 (60133378)
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Keywords | 高血圧 / レニン-アンジオテンシン系 / ペプチド / カルシウムチャンネル阻害 / 副作用 / 吸収 |
Research Abstract |
1)降圧ペプチドの血管組織に対する生理作用 (1)ヒト正常血管平滑筋細胞(VSMC)を用いてVYの生理作用を検討した。1μM Ang II及び1μM Ang II受容体アンタゴニスト(saralasin)存在下において、VYの抗VSMC増殖作用が有意に発現したことから、VYはRAS代謝系とは異なる血圧調節系に関与していることを明らかにした。 (2)細胞内カルシウム濃度への影響:L型カルシウムチャンネルアゴニストであるBay K 8644を用いて試験を実施した結果、同アゴニスト1μM刺激によるVSMC増殖を1mM VYは有意に抑制した。この知見は、低分子ACE阻害ペプチドが潜在的に細胞内へのカルシウム流入を阻害する作用を有していることを示すものであり、ペプチド生理としては初めての知見を与えるものであった。 (3)カリウムチャンネルのアンタゴニストであるパキシリン(10μM)存在下においてもなおBay K 8644刺激VSMC増殖をVYが抑制したことから、ペプチドの抗増殖抑制作用はL型カルシウムチャンネルに対する特異的な結合阻害によることが判明した。 2)臨床降圧剤と降圧ペプチドの同時摂食効果 カプトプリルを用い、降圧ペプチドとの同時摂取による降圧作用への影響を評価した。SDラット空腸膜を用いてin vitroでの腸管透過試験を実施した結果、両者はPEPT1トランスポータに対してほぼ同等の結合親和性(Km:1-3mM)を有していることが判明した。そこで、18週齢SHRに対する単回投与試験を実施した結果、単独投与で認められた血圧低下作用が両者の混合液投与(VY:25mg/kg、カプトプリル:2.5mg/kg)において全く消失することが判明した。投与3時間後に得られた血漿中のカプトプリル量を測定したところ、血漿中濃度は単独投与区でのカプトプリル量と比べて約1/2の濃度まで減少していることが示された。この知見は、両者の吸収が腸管において拮抗していることを示唆するものであり、降圧剤投与患者への降圧食品の適用は極めて危険であることが初めて明らかとなった。
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Research Products
(2 results)