2004 Fiscal Year Annual Research Report
隔離分布するブナ林の繁殖能力低下要因-メタ個体群が共有する近交弱勢遺伝子の解析
Project/Area Number |
15380101
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
向井 讓 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80283349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
津村 義彦 森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 研究職(ゲノム解析研究室長)
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Keywords | ブナ / 近交弱勢 / 連鎖地図 / 人工交雑 / マイクロサテライトマーカー |
Research Abstract |
1.遺伝マーカーの開発と連鎖地図の拡充 予備的研究で作成したブナの連鎖地図を拡充するため、平成15年度に採集したブナの人工交雑堅果を発芽させ、実生を育成している。現在、大部分の実生からDNAの単離を終了した。また、マイクロサテライト(SSR)マーカーによる遺伝分析をおこなうため、マイクロサテライトを含む配列のプライマー解析を実施し、14組のプライマーを設計した。設計したプライマーの中8個については、IRD800で蛍光標識し、遺伝マーカーとして使用できることを確認した。連鎖地図については、予備的解析で作成したAFLPマーカーの遺伝分析データを再確認し、母樹および花粉親について別々な連鎖地図を作製し、両連鎖地図に共通するAFLP座を同定している。 2.ブナの開花状況調査 岐阜大学演習林のブナ天然林および新潟県苗場山のブナ天然林でブナ成熟木の冬芽の観察及び解剖をおこない開花の予測を試みた。その結果、両林分とも平成17年に開花する個体が多数存在することが明らかになった。岐阜大学位山演習林については、花粉飛散量の観察、人工交雑、堅果形成過程の観察を実施するための鉄塔を建設する予定である。 3.局所個体群の遺伝的構造と自然受粉種子の解析 交雑家系の作成に使用した母樹及び花粉親が存在する富士山のブナ天然林において、母樹周辺に存在する花粉親候補木の樹木位置を測量し、遺伝子分析用の試料(葉)を採集した。また、平成15年度に採集した自然受粉堅果から育成した実生よりDNAを単離し、1.で開発したSSRマーカーを用いた解析をおこない、花粉親の同定を実施した。
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