2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナラ類集団枯死被害に関与する養菌性キクイムシとその共生菌の分子生物学的研究
Project/Area Number |
15380103
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90092139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶村 恒 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (10283425)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30324552)
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Keywords | Raffaelea quercivora / ナラ類集団枯死被害 / リボソームDNA / 5.8S-ITS2領域 / D1 / D2領域 / カシノナガキクイムシ / 形態的特異性 / 交配実験 |
Research Abstract |
Raffaelea quercivoraの基準種5菌株(MAFF410918、MAFF410919、MAFF410920、MAFF410921、MAFF410922)とナラ類集団枯死被害が発生した各被害地から収集した21菌株の形態学的・遺伝学的特徴を検討した。基準種の分生胞子の大きさは1.8-3.1×3.3-8.1□m、21菌株では1.4-5.4×3.0-10.3□mであった。リボソームDNAの5.8S領域を含むITS2領域(以下、5.8S-ITS2領域)、28S領域のD1/D2領域の遺伝解析を行い,基準種の5.8S-ITS2領域は182bp, D1/D2領域は517bpの塩基配列を解読した。基準種間の相同性は5.8S-ITS2領域が100%、D1/D2領域が98.9%であった。基準種と各被害地から収集した21菌株の5.8S-ITS2領域の相同性は98.9%から100%、D1/D2領域は99.6%から100%であった。以上より、被害地から収集された菌株の形態的、遺伝的特徴は、基準種と極めて類似しており、本被害地の被害木から優占的に検出される菌は同一種であると考えられた。 和歌山県産のカシノナガキクイムシについて、形態的特異性を定量的に明らかにした。そして、和歌山と京都の個体群間における交配実験を行い、異なる個体群間の組合せでも、相互に交配相手として受容できるが、同じ個体群間の組合せよりも繁殖成績は悪く、卵が孵化したことを示した。さらに、カシノナガキクイムシの種特性を把握するための一助として、他種のキクイムシ(静岡県産、愛知県産、京都府産、沖縄産)に関しても、繁殖様式や成育温度特性などの解明を試みた。
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Research Products
(11 results)