2004 Fiscal Year Annual Research Report
きのこときのこを利用する昆虫の相互関係に関する群集生態学的研究
Project/Area Number |
15380104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 千尋 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60263133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 直哉 京都大学, 農学研究科, 講師 (10221821)
都野 展子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60295102)
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Keywords | Amanita ibotengutake / Amanita pseudoporphyria / きのこ毒 / 昆虫相 |
Research Abstract |
本研究では、きのこの毒成分に着目し、殺ハエ成分を含むきのこを利用する昆虫群集の特徴を捉える事を目的とした。2004年5月から同年10月までの期間、京都大学上賀茂試験地、および京都市近郊にある吉田山で、野外調査を行い、Amanita属きのこ及びそれを利用する昆虫群集をサンプリングした。サンプリング時にきのこに訪れていた昆虫類を訪茸群集とし、採取したきのこから羽化してきた昆虫類を羽化群集として、それぞれについて解析を行なった。その結果、イボテングタケでは、訪茸群集相と羽化群集相では著しい違いが認められた。訪茸群集相はハエ目が80%を占め、コウチュウ目が15%、ハチ目が5%であった。大多数を占めたハエ目昆虫はショウジョウバエ科(50%)、ノミバエ科(16%)、タマバエ科(16%)、ハヤトビバエ科(4%)、クロバネキノコバエ科(3%)、ヒメイエバエ科(5%)、キモグリバエ科(2%)などを含む10科並びに1不明科に所属するものであった。一方、羽化群集相はノミバエ科ならびにショウジョウバエ科の昆虫に特徴づけられていた。前者は幼菌段階から誘因・寄生が認められ、後者は成熟から腐敗段階での誘因・寄生が認められた。ショウジョウバエ科昆虫に着目しより詳細な解析を行ったところ、訪問群集はショウジョウバエ属・セダカショウジョウバエ属・キノコショウジョウバエ属から構成されていたが、羽化群集はショウジョウバエ属、中でもDrosophila bizonata 1種から構成されていた。現在、訪問群集と羽化群集の種構成の違いがイボテングタケに含まれている毒成分によるものか否かを実験的に証明することを試みている。
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