2004 Fiscal Year Annual Research Report
樹木-リター-土壌系における炭素の動態と固定に関する研究
Project/Area Number |
15380107
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金澤 洋一 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (40101092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 弘明 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (50346251)
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学部, 助教授 (50243332)
鈴木 武志 神戸大学, 農学部, 助手 (10321952)
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Keywords | 枯死材現存量 / 枯死材呼吸量 / リター / DOC / 腐植 |
Research Abstract |
北米の温帯針葉樹林は、巨大な地上部現存量とあわせて、枯死材に含まれる炭素蓄積量が非常に多い。450年生の針葉樹林において枯死材に含まれる炭素量を22t ha^<-1>と推定されているが、樹冠部に存在する枯死材については不明であった。ロープ登はん技術を用いて450年生ダグラスファーの樹冠を調査した結果、樹冠の枯死枝現存量は2.60-5.56t ha^<-1>と推定された。これは樹冠部の生枝現存量の約1/4に相当する。1998年から5年間に樹冠から地上に供給された枯死材の量は30.88tha^<-1> yr^<-1>であった。 広葉樹二次林で枯死材量を調査した結果、枯死材現存量は9.3tC ha^<-1>であり、その量は地上部現存量の21%を占めていることがわかった。また温度と含水率、枯死材の基質特性を変数とした枯死材呼吸のモデルを作成した。このモデルでは呼吸量のばらつきの53%が説明できた。また枯死材呼吸の連続測定結果は、温度と含水率で呼吸量のばらつきの80%以上の説明が可能であることを示した。作成したモデルにより森林全体の年間枯死材呼吸量は0.5tC ha^<-1> yr^<-1>と推定された。この呼吸量のうち、倒伏木の呼吸量が多く、立枯木の3倍にも達していることがわかった。 これらリターからの有機物の移動について、水溶性有機物を季節ごとに採取・調製して分析した結果、土壌における水溶性有機物の保持量はA層で最も多いこと、保持される有機物は芳香族性や脂肪族性に富む疎水性成分であること、リター層から下層への移行に伴い多糖性に富む成分は微生物分解を受けて減少することが明らかになった。さらに、冬と夏の渓流水の比較から、リター層の有機物が土層内通過中に微生物や土壌吸着の作用を強く受けて最終的に渓流水へと流出する経路と、激しい降雨にともなう表面流去水によってリター層から直接的に速やかに渓流水に移行する経路のあることが論証された。
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Research Products
(7 results)