2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹木-リター-土壌系における炭素の動態と固定に関する研究
Project/Area Number |
15380107
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金澤 洋一 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (40101092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 弘明 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (50346251)
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学部, 助教授 (50243332)
鈴木 武志 神戸大学, 農学部, 助手 (10321952)
|
Keywords | 枯死枝 / CN比 / 根呼吸 / 土壌呼吸 / 水溶性腐植物質 |
Research Abstract |
二次林代表樹種のコナラ及びソヨゴでは主軸直径の増加に伴いそこから発生した枯死枝の直径も増加する傾向があった。しかし主軸直径が30cmを越えると枯死枝の直径はそれぞれ約10および20cmで最大値に達した。調査個体は樹冠が定常状態と考えられ、一定の基部直径以上に成長しない2次枝の枯死を示していた。この2種では生枝と枯死枝の炭素含有量に差はなかったが、窒素含有量は生枝よりも枯死枝で低かった。ヒメヤシャブシでは生枝よりも枯死枝で炭素、窒素ともに含有量が低かったが、CN比は前2種同様に枯死枝で増加した。この結果は樹上の枯死枝では生物的分解機構が作用していないことを示唆していた。 上記の試験地における根の呼吸測定から重量あたりの根呼吸量が直径によって大きく異なることがわかった。根径ごとの根呼吸を推定したところ、全根量の約15%を占める直径2mm以下の細根が全根呼吸量の6割以上を占めていた。また根呼吸の土壌呼吸に占める割合は18.7〜59.8%と大きな季節変動をした。 水溶性腐植物質調製法については、リター土壌では抽出水量20倍量12時間振とう、それ以外の土壌では抽出水量5倍量24時間振とうで、高収量かつ特性変化の少ない抽出ができた。また土壌試料の構造特性は3日間の冷蔵保存ならばほとんど変化がなかった。水溶性腐植物質の化学構造特性の変化は季節よりも下方移動による変化が顕著であり、表層部では微生物分解、下層部では配位子交換反応による土壌吸着が主因であった。沢水中の腐植物質はB層の水溶性腐植物質より希薄だがよく類似しており、沢水腐植物質の下層土壌由来を示していた。ただし夏の沢水腐植物質はリター層の水溶性腐植物質と類似していた。土壌に集積している土壌腐植酸の全土壌有機物に占める割合は15〜16%であり、水溶性腐植物質の7〜24倍量であった。土壌腐植物質の前駆体として水溶性腐植物質が有力と考えられた。
|
Research Products
(6 results)