2003 Fiscal Year Annual Research Report
下水汚泥からの重金属除去とコンポスト化による荒廃地緑化利用に関する実証的研究
Project/Area Number |
15380109
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
嶋 一徹 岡山大学, 農学部, 助教授 (80274017)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 豊信 岡山大学, 農学部, 教授 (40144737)
千葉 喬三 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10036741)
|
Keywords | 下水汚泥 / 汚泥コンポスト / 重金属元素 / 緑化 / 物質動態 |
Research Abstract |
近年、産業廃棄物のうち下水汚泥などの有機性廃棄物は膨大な排出量と有効再利用の遅れが懸念されているが、肥料成分に富み、緑化工の分野において荒廃地緑化や植生回復のための生育基盤材として再利用が可能であると期待されている。しかし、その利用に際しては解決すべき多くの課題があり、明確な法的規制が確立されるのを待つまでもなく、効率的で安全な有効利用の方策を確立することが必須の課題である。 本研究は、下水汚泥の緑地利用における諸課題のうち、最も基本的、かつ重要な問題である、活性汚泥処理過程での重金属元素の分離とそれにともない発生する低重金属含有の脱水汚泥を用いたコンポスト化手法の開発、ならびに汚泥コンポスト施用土壌における肥料効化と含有重金属類の動態を解析により、緑化工分野における下水汚泥資源の再循環システムを提案することを目的としたもので、本年度の研究によって以下のことが明らかになった。 1.回分式活性汚泥槽を試作して重金属元素分離方法の開発を検討した結果、流入汚水中の重金属元素とアンモニア態窒素の挙動に大きな相違があることが明らかになった。すなわち汚水がエアレーションタンクに流入すると重金属元素の大部分は数分以内に吸着されるのに対して、アンモニア態窒素については微生物繁殖にともなう有機化により濃度減少が起こる。この挙動の違いを利用して重金属の一部除去が可能であることが示唆された。 2.下水汚泥脱水ケーキの前処理法(コンポスト化法)の開発・改良に関しては、日本各地の地方自治体が生産するコンポスト資材を取り寄せて土壌施用にともなう重金属挙動を比較した。その結果、副資材の質と量により重金属の可溶化プロセスに相違があることが明らかになった。 3.圃場・緑地施用による物質動態解析についてはイタリアンライグラスを用いた栽培試験を行い、植物中への行こうには可給態カリウムの存在が重要な役割を果たすことを明らかにした。
|