2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380128
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 伸次 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (40231930)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 晧平 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (10109514)
山下 正兼 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30202378)
|
Keywords | 卵質 / 染色体 / 減数分裂 / 卵成熟 / 魚類 / 排卵 / ホルモン / ウナギ |
Research Abstract |
人為的に催熟されたウナギから得られた卵の受精率や孵化率は低く卵質改善が望まれている。本年度は、卵における染色体の形態が受精率や孵化率と相関があるか否かを検討した。組織観察の結果、卵核胞崩壊以前から第2減数分裂中期あるいは過熟まで様々なステージが観察され、個体間および個体内でばらつきがみられた。第2減数分裂中期の染色体像が多く見られる卵では、受精率および孵化率が高かった。一方、第1減数分裂中期に至っていない、あるいは異常な染色体像が多く見られる卵では、受精率および孵化率が低かった。以上の結果から、ウナギ卵における卵質悪化の一因は、卵成熟不全や異常あるいは過熟にあると思われた。 チョウザメの排卵誘発も、ホルモン投与により行なわれているが、雌親魚ごとの孵化率が安定しないことなどが問題とされている。本年度は、採卵前にバイオプシーにより取り出した卵母細胞の卵成熟能を調べ、孵化率との相関を調べた。その結果、卵成熟能が高いと評価された個体ほど、ホルモン投与から排卵までに要する時間が短く、孵化率も高い傾向がみられた。 一方、冷水性カレイ類のマツカワは3-4日毎に自発的に多回排卵し、卵は卵巣腔中で3-4日程度は高い受精能を保つ。搾出卵においては、そのほとんどが透明卵の場合は、48時間4-5℃で静置後も受精率は70%近くに保たれた。しかし、一見浮上率も高く、肉眼的には透明卵が多く見えるものでも、実態顕微鏡下では一部に不透明部分がある卵が含まれるなど、搾出卵の半分近くに異常がある場合、48時間静置後の受精率は10%以下と急激に低下した。従って、卵巣腔中に残留卵(壊卵)があると、新たに排卵された卵の受精能は急速に低下することが判明した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 萱場 隆昭: "マツカワの卵質劣化に及ぼす残留過熟卵の影響"Nippon Suisan Gakkaishi. 69. 414-416 (2003)
-
[Publications] Kayaba T.: "Induced spontaneous spawning using an increased temperature stimulus in the cultured barfin flounder, Verasper moseri"Fisheries Sci.. 69. 663-669 (2003)