2005 Fiscal Year Annual Research Report
麻ひ性貝毒生産菌を用いる毒の生合成と代謝に関する研究
Project/Area Number |
15380144
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
児玉 正昭 Kitasato University, 水産学部, 教授 (40050588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 繁 北里大学, 水産学部, 助教授 (20170748)
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Keywords | 麻ひ性貝毒 / 抗麻ひ性貝毒抗体 / ELISA / 麻ひ性貝毒結合タンパク / 麻ひ性貝毒生産細菌 / Alexandrium tamarense |
Research Abstract |
麻ひ性貝毒の検出にはHPLCなど化学的な優れた方法が開発されているが、他分子と結合した毒成分を検出する方法は知られていない。そこで麻ひ性貝毒に対する特異的抗体を開発し、生体分子と結合した毒成分の検出法を開発し、本抗体を用いたwestern blot分析が毒成分を結合したタンパクの検出を可能にすることを明らかにした。また、未知の低分子成分と結合した毒成分は同抗体に基づくELISAで検出することも可能になったので、本方法を用いまず、貝類の生体分子と結合した麻ひ性貝毒成分の存在を明らかにした。しかしこの場合、GTX1,4などの1N-OH成分に対する抗体の親和性が弱いことが問題であることが判明した。そこで、これら成分を還元して1N-H成分に導く方法を考案し解決を図った。本方法は抗体を用いる毒測定法の重要な知見であるので特許申請を行った。次に、麻ひ性貝毒の原因藻であるAlexandrium tamarenseより分離した麻ひ性貝毒生産菌PTB-1のタンパク抽出物を同抗体を用いてwestern blot分析に付したところ、分子量約50kDaのタンパク成分が染色され、麻ひ性貝毒と結合している細菌タンパク成分の存在が明らかになった。そこで本タンパク質を含む画分を37℃でインキュウベートしたところ時間とともに同タンパクのバンドは消失し、低分子画分にELISAと反応する物質が増加する現象が観察された。ここで得られたELISA陽性画分をHPLCで分析したところ麻ひ性貝毒成分であるGTXsとSTXsに相当するピークが観察された。そこで本画分をmercaptoethanolで処理したところ、GTXsのSTXsへの変換が認められ、HPLCで認められた麻ひ性貝毒成分が毒そのものであることが明らかになった。以上の結果は細菌中で麻ひ性貝毒はタンパク成分に結合した形で存在しており、同タンパクが異化代謝を受ける際タンパク質から遊離することを示唆する。今後、細菌の麻ひ性貝毒結合タンパクの性状、毒とタンパクの結合様式、および毒の遊離過程を明らかにすることにより、麻ひ性貝毒の生物学的存在意義が明らかになると考える。
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Research Products
(4 results)