2003 Fiscal Year Annual Research Report
淡水魚保全のための水域・水路分級とミティゲーション計画の研究
Project/Area Number |
15380161
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
水谷 正一 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70093143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 宏之 宇都宮大学, 農学部, 助手 (30292577)
後藤 章 宇都宮大学, 農学部, 教授 (80162139)
神宮字 寛 秋田県立大学, 短期大学部, 講師 (10299779)
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Keywords | 淡水魚 / ミティゲーション / 水域 / 水路 / ウグイ / ホトケドジョウ / イバラトミヨ雄物型 / 生活史 |
Research Abstract |
1.沖積平野の水田水域に生息する2種の魚類について、以下の知見を得た(栃木県河内町西鬼怒川水域)。 ・ウグイについては、農業用小河川(谷川)で生活史を完結する個体群、およびこれに隣接する水域(内川水域、西鬼怒川水域)から移入し、産卵後、それぞれの水域に回帰する個体群を確認した。前者の個体群サイズは約5万個体と推定され、隣接水域からの移入個体数は約1000個体であった。 ・ホトケドジョウについては、農業用小河川と繋がった湧水性湿地で産卵し、農業用小河川で越冬する個体群を確認した。本種の移動距離は最大で140m程度であるが、多くの個体は上下流40m程度の狭い範囲で移動していた。 2.谷津田に生息する魚類の生息水域について、以下の知見を得た(栃木県市貝町小貝川上流域)。 ・5つの谷津田に生息する魚類について、2月、6月、8-9月の生息密度を把握した。 ・統計分析から、ホトケドジョウは谷津上流水域、シマドジョウは谷津中・下流水域、ドジョウは谷津全体にわたって生息することが判明した。 3.扇状地の水田水域に生息するイバラトミヨ雄物型について、以下の知見を得た(秋田県千畑町)。 ・人為的に創出した保全池、保全水路のイバラトミヨの定着状況を個体数密度によって、また繁殖状況を体長組成によって評価した。 ・保全水路は現況水路を石積み護岸とした水路(保全水路)と新たに敷設した石積み護岸水路(代償水路)があり、代償水路の個体数密度が保全水路に比べて高く維持されていた。 ・保全池の個体数密度は湧泉と比較して高く維持されていた。湧泉、保全池とも繁殖時期に未成魚の割合が増加し、繁殖場所として利用されていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 水谷 正一: "よみがえれ、野の川と魚たち"Ecosophia. 11. 17-22 (2003)
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[Publications] 水谷 正一: "里人たちの想い、願い、そして実践"農村計画学会誌. 22. 213-218 (2003)
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[Publications] 藤咲雅明, 鈴木正貴, 水谷正一: "魚類の生息から見た谷川における自然環境の再生と回復"農村と環境. 19. 60-67 (2003)